天皇陛下退位後称号、「上皇」で意見が集約 有識者会議が合意
2017年4月22日 11:13
天皇陛下の退位と皇太子さまへの御譲位に関して、それに伴う様々な事項が目下話し合われている最中であるが、陛下の退位後の呼称については、「上皇」で一本化されるようだ。21日、天皇陛下の退位に関する政府の有識者会議がまとめた最終報告書の中で、同会議がこれに合意を示した。
この問題をめぐっては、太上天皇の略号とされる「上皇」という号が歴史的・政治的に見て重々しく、天皇より上位にあるという印象を与えかねないという指摘があり、一度は「前天皇・元天皇などを用いるべきではないか」という意見が優勢になったこともあった。しかし結局のところ、「退位した天皇は上皇となる」という歴史的慣行の方に軍配が上がったという形のようである。
上皇という言葉の歴史は古い。日本での上皇という称号の始まりは、645年、皇極天皇から孝徳天皇への譲位に始まる。最後の上皇は19世紀、光格上皇(1817年に退位、1840年に崩御)。北朝の上皇を含めて、53人の上皇が歴史上に存在する。今上天皇が上皇となれば、54人目である(異なる数え方もあるため、異説もある)。また、皇后さまについては、「上皇后」と呼称されるという。
なお、今回の有識者会議においては、もう一つの重要事項についても決定がなされた。繰り上がりで次に皇位継承権第1位となられる、秋篠宮さまの呼称についてである。
そもそも、現在の日本国憲法が制定された時、昭和天皇が位にあり、また時の皇太子さま(今上陛下)が既に世にあって、さらに平成の御世が始まったときには既に現皇太子さまがおられたため、「皇太子」ではない皇位継承権第1位の人物が出現するのは、なにしろ現行法制下ではこれが初めてなのだ。
現皇太子さまが即位された場合、秋篠宮さまは歴史用語としては「皇太弟(こうたいてい)」という言い回しで呼ばれることもあるお立場になられるわけだが、この言葉は結局、公式なものとしては使用せず、「皇嗣」、「皇嗣殿下」と呼称することになったという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)