国家公務員の退職金、民間企業より78万円多い
2017年4月20日 09:20
人事院は19日、2015年度に退職した国家公務員の退職給付(退職手当と共済年金給付の合計)が一人当たり2,537万7,000円となり、民間企業の退職一時金と企業年金の合計2,459万6,000円よりも78万1,000円(3.08%)上回っていたと発表した。調査結果を踏まえて人事院は、官民均衡の観点から、公務員の退職給付水準について見直しを行うことが適切との見解を安倍首相と麻生財務相に対して示した。
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人事院による国家公務員と民間企業の退職給付の比較は約5年ごとに実施され、調査結果に基づき国家公務員の退職給付水準の見直しが行われる。民間企業の調査については、企業規模50人以上の民間企業 4,493社分のデータを元に集計。官民とも2015年度中に退職した勤続20年以上の事務・技術関係種の職員・従業員の退職給付額を算定した。年金分については、退職時に一時金として支給する場合の原価に換算して計算されている。
民間企業の調査結果では、退職給付制度がある企業は全体の92.6%。そのうち退職一時金制度がある企業は88.0%、企業年金制度がある企業は51.7%だった。退職給付制度の中身としては、「退職一時金制度のみ」の企業は48.3%、「退職一時金制度と企業年金制度を併用」している企業は39.6%、「企業年金制度のみ」の企業は12.0%となっている。
退職給付の内訳は、国家公務員では退職手当が2,314万1,000円、共済年金給付が223万6,000円、民間企業では退職一時金が1,006万1,000円、企業年金(確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金など)が1,453万5,000円だった。
2012年に行われた前回の同調査では、国家公務員は2,950万3,000円、民間企業では2,547万7,000円で、国家公務員の方が402万6,000円多いという結果となり、その官民格差の大きさが話題を呼んだ。5年前に比べて国家公務員一人当たりの退職給付は412万6,000円下がったが、民間企業の退職給付金も5年間で88万1,000円下がり、結果として格差は依然として残る形となった。今回の人事院見解を受けて国家公務員の退職給付が見直される場合、国家公務員退職手当法改正案が国会に提出される。(記事:荒川・記事一覧を見る)