JAL、ロボット活用の実証実験、五輪へ向け航空業界のロボット導入加速
2017年4月20日 08:09
日本航空(JAL)は19日、ロボットを活用した手荷物搬送支援の実証実験を実施していると発表した。福岡空港の国内線ターミナルで、オムロン社が製造するモバイルロボット利用する。2020年の東京オリンピックへ向けた政府の取り組みにより、航空業界では、ロボットの実証実験が相次いでいる。
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今回の実験に使われるロボットは、人と同じ環境で作業することを前提として作られたオムロン社の「LDシリーズ」。人や障害物を検知し、ぶつからないようにリアルタイムで効率的な進路を選び、目的地へと移動することができる。
車いすやベビーカーの利用者が、ロボットによって荷物を搬送できるようにする。現在は、車いす利用者をJALのスタッフが到着ロビーへ迎えに行き、車いすを押しながら荷物の受け取りや交通機関までの搬送を一人で行っていた。ロボットの利用によって、荷物の搬送業務をロボットが代行し、スタッフは車いすを押すなど顧客の安全確保を優先することができる。
国内の空港や航空会社ではロボット導入に向けての動きが昨年より広がっており、その目的は多岐に渡る。昨年12月、羽田空港は国土交通省および経済産業省と連携し、「Haneda Robotics Lab(ハネダ ロボティクス ラボ)」を設置。「清掃」「移動支援」「案内」のテーマで17社のロボットを採用し実験を行った。
今年1月には成田空港で、手荷物の上げ下ろしや移動を支援する、装着型作業支援ロボットを試験導入、また3月には本田技研工業のロボットが海外からの渡航者をイベントステージまで案内、「ASIMO」がおもてなしするというイベントを実施した。
背景にあるのは、2020年のオリンピックだ。政府の「日本再興戦略2016」のひとつ、「改革2020」では、世界から注目の集まるオリンピックで、日本の強みを海外にアピールするとしている。実現のために「先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」、「観光先進国のショーケース化」などを掲げ、主要ターミナルなどのバリアフリー化や情報案内提供を推進するとしている。(記事:高橋珠実・記事一覧を見る)