ビフィズス菌が幼児の風邪を改善する
2017年4月15日 09:54
世界保健機関(WHO)によると、下痢や感染症などの疾患による、5歳未満の幼児の死亡数は毎年約520万人にも上ることが報告されている。全体的には減少傾向にあるが、地域格差はますます広がってきており、地域によっては、逆に死亡率が増加傾向にあることも事実。また、保育園や託児所などに通う幼児は、自宅での保育と比較して、感染症にかかるリスクが2倍から3倍になるとの報告もあり、家族や社会への経済的な負担拡大につながり、世界的に問題となっている。
これまで森永乳業<2264>では、プロバイオティクスのひとつで、同社の独自素材であるビフィズス菌BB536の摂取による、整腸作用や抗アレルギー作用、感染防御作用などを確認しており、特に成人から老年層に対してビフィズス菌 BB536の健康増進作用を明らかにしてきた。そこで今回は、マレーシアサインズ大学の共同研究により、マレーシア国内の託児所または幼稚園に通う幼児を対象として、ビフィズス菌BB536を10カ月間摂取してもらい、風邪症状や下痢の発症に対する効果について調査した。
それによると、10カ月の摂取期間中、風邪症状を訴えた人数を比較した場合、統計的な群間差はなかったが、風邪症状のうち、のどの痛みの罹患日数の合計は、摂取群で 293日、プラセボ群で 549日であり、摂取群で有意に低値を示した。
また、発熱(摂取群:147日、プラセボ群:206日)や咳(摂取群:690日、プラセボ群:832日)、鼻水(摂取群:622 日、プラセボ群:724 日)の罹患日数の合計について解析したところ、統計的な有意差は認められなかったものの、摂取群ですべての項目において罹患日数が短縮されていたという。
10カ月の摂取期間中に下痢の症状を訴えた人数と罹患回数については、統計的な群間差はなかった。これは、ビフィズス菌 BB536 摂取群とプラセボ群とも発症頻度が低かったことが起因していると考えられると。これらの結果より、ビフィズス菌の長期摂取は、のどの痛みなどの感冒様症状の発現を抑える可能性があることが示されたとしている。(編集担当:慶尾六郎)