EVの急速充電を3分の1に短縮する充電器を公表
2017年4月11日 21:08
電気自動車ユーザーの利便性向上に貢献するために設立されたチャデモ協議会は、急速充電器の規格改定を行い、その新型充電器を公表した。従来の最大電流を125アンペアを400アンペアにすることで実行充電出力を従来の50キロワットから最大150キロワットまで向上させることができ、急速充電時間を3分の1程度まで短縮可能にした。
現在、国内の充電ステーションは約21,000ヶ所に設置されており、このうち急速充電器は約7,000ヶ所。電気自動車(EV)の普及には充電ステーションのインフラが不可欠といわれてきたが、今は国内で走行しているEV6台に対して充電ステーション約1基の割合まで普及している。
ただし、近年のプラグインハイブリッド車を含むEVは走行距離延長を目的として駆動用バッテリーの大型化が進んでおり、充電時間が長くなっていることから、インフラの普及とは別に1基における充電時間の短縮や充電ステーション渋滞の解消が課題とされてきた。
今回の規格改定はこの課題を解決するための措置で、将来的には350キロワットという仕様も計画されている。チャデモ委員会は年内中に高速道路のサービスエリアから設置を始め、当面は100基前後の整備を目指す。
欧州車は環境性能においてこれまでクリーンディーゼルを主体としてきたが、2021年か らはさらに排ガス規制が厳しくなるため、プラグインハイブリッドへのシフトが進んでいる。とくに日本で人気の高いメルセデス・ベンツやBMW、アウディやフォルクスワーゲンといったドイツ車はボリュームゾーンとなるミドルクラスにプラグインハイブリッド車を投入しており、その車種数は日本車をはるかに凌ぐ。
ヨーロッパやアメリカは日本の給電規格チャデモ方式に対抗してコンボ方式を採用していたが、EV普及のためとして両規格に歩み寄りが見られ、ヨーロッパではすでに両方の規格に対応するコネクタを装備するマルチ充電ステーションが設置され始めている。国内に輸入されているプラグインハイブリッドはすべてチャデモ方式対応だ。
ドイツ車に比べると国産車のEVやプラグインハイブリッドはまだ車数が少ない状態だが、充電時間が短縮された急速充電ステーションの基数が増えれば普及に加速がつくと予想されている。編集担当:久保田雄城)