オムニチャネル強化で営業利益2ケタ増 オンワードHD2017年2月期

2017年4月10日 15:21

 オンワードホールディングス(東京、保元道宣社長)の2017年2月期の連結業績は、売上高が前年同期比7.1%減の2,449億円となったものの、営業利益が11.3%増の42億300万円、経常利益が1.3%増の55億7,700万円、当期純利益が10.9%増の47億4,400万円と減収増益となった。昨年4月に発表した中期経営計画(2017~2019年度)で海外事業とともに事業拡大の柱に据えるEC事業が売り上げをけん引した。

 7~9月のアパレル主力子会社が大きく苦戦したことに加え、サービス関連事業アクロストランスポートの株式譲渡や為替換算レートの影響などが減収要因となったが、中期経営計画の核に据えるEC事業が利益を押し上げた。国内・海外を合わせたEC売上高は、計画比0.1%増の150億円。特に、旗艦婦人ブランド「23区」は、店頭売り上げが1.9%減となったが、EC売り上げが32.4%増と2ケタ増を示し、ブランド全体で1.4%増と増勢を示した。店頭とECの在庫連携や、オンライン限定商品の拡充、ブランドサイトと通販サイトの統合リニューアルなどが数値的な実績となってあらわれた。欧州に販路を広げる「ジョゼフ」も、リアルタイム在庫連携や、多言語・多通貨対応などを進めたことで、売上高40%増と大幅増収。「ECの売り上げ比率が高いブランドが全体売り上げにも貢献している。オムニチャネル化を加速するための好事例として、確信を持って他ブランドへも広げていく」(保元社長)という。

 一方、実店舗の売上高は2,396億円と3%減。オンワード樫山(4.9%減)や「グレースコンチネンタル」を有するアイランド(4.0%減)などアパレル子会社が苦戦した。ユニフォーム・催事事業のオンワード商事(1.5%増)や、バレエ用品のチャコット(横ばい)など非アパレル子会社と明暗が分かれる結果にもなったが、保元社長は、「リアル店舗の縮小は考えていない」とコメント。「これまではEC事業を中心に強化してきたが、店頭・ECの在庫連携やメンバーズ会員の統合・拡大により、実店舗への送客も一層加速できる。2018年度は、オンワード樫山のメンバーズ会員数を現在の160万人から210万人に増やす。百貨店やショッピングセンターなどの取引先と連携しながら、オムニチャネル化を進める基盤を整える」(同)と語った。

 中期経営計画の初年度となった2017年度を振り返り、「まずは納得のいく結果を出せた。その果実(結果)をきちんと刈り取りながら、最終年度に向けて施策を実行する」と保元社長。収益性の改善で成果を出した海外事業とともに、2018年度もオムニチャネル化を加速させる。オンラインマーケティングの強化やグループ顧客基盤の統合、海外ECの強化、M&Aの推進などを進め、最終年度のEC売り上げ目標360億円を目指す。「売上高、シェアに加え、伸び率もしっかり上げる。グループをあげて事業拡大を加速する」と攻勢の姿勢を見せた。

 2018年2月期の連結売上高は、前年同期比2.3%減の2,393億円とするが、営業利益は35.6%増の57億円、経常利益は27.3%の71億円、当期純利益は11.7%増の53億円とそれぞれ2ケタ増を計画する。

■関連記事 オンライン発のブランド&事業開発も EC事業の成長戦略 オンワードHD http://www.apalog.com/report/archive/2895

(アパレルウェブ編集部)

関連記事

最新記事