米政府、ツイッター政権批判アカウントの実名開示要求を取り下げ

2017年4月9日 07:55

 アメリカ合衆国政府がツイッター上でトランプ政権を批判するツイートを繰り返すアカウントの個人情報についてツイッター社に開示を求めていた問題で、ツイッター社の「憲法違反である」との提訴を受け、政府は開示要求を撤回、ツイッター社も告訴を取り下げていたことが明らかになった。ロイター通信などが報じた。

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 問題になっているのは、アメリカの連邦職員である風を装い、ツイッター上で政権批判を繰り返している、@ALT_USCIS、@alt_labor、@BadlandsNPSなどといったアカウント。これらの人々は「しばしば、強く政権を批判する」が、「新しい、想像力に富む」人々である、というのがツイッター社のコメントにある。

 トランプ大統領はこれらのアカウントを運営する人々の正体を突き止めるべく、ツイッター社にアカウント利用者の氏名、電話番号、住所などの開示を求めた。ツイッター社は開示を拒否、これは合衆国憲法違反である、と主張した。

 合衆国憲法を見てみよう。アメリカの憲法で、言論の自由に関する規定は、修正1条(アメリカの憲法は日本のそれと違って時々修正が加えられるため、修正箇条がある)にある。在日米国大使館の公式サイトに掲載されているものを引用する。

 「修正第1条[信教・言論・出版・集会の自由、請願権][1791 年成立]連邦議会は、国教を定めまたは自由な宗教活動を禁止する法律、言論または出版の自由を制限する法律、 ならびに国民が平穏に集会する権利および苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律は、これを制定してはならない」。

 なるほど、まあ当然といえば当然ではあるが、自由の国アメリカは言論の自由を憲法でもって保証しているわけである。

 ただ今回の一件、一つだけ申し添えておくと、「ツイッター上の言論の自由」について、連邦裁判所から何らかの司法判断が示されたわけではない。提訴された時点で政府側が引いてしまったからである。これが、司法判断になったら勝ち目がないという判断に基づくものなのか、それとも国民感情を刺激しないことを政治的に企図した措置であるのかは、定かでない。

 とはいえ、(日本の話ではないとはいえ)言論の自由が守られたということの意義は大きい。広くヴォルテールの言葉として知られる、実際にはヴォルテールの言葉ではない、だが誰が言ったにしても名言であるには違いない言葉を持って結びとさせていただこう。

 「君の言うことには反対だ。だが、君がそれを言う権利を、私は命をかけて守ろう」。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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