「レオナルド×ミケランジェロ展」三菱一号館美術館で開催
2017年4月8日 16:07
「レオナルド×ミケランジェロ展」が三菱一号館美術館で開催される。期間は2017年6月17日(土)から9月24日(日)まで。
■ルネサンスの巨匠、レオナルドとミケランジェロ
15世紀イタリアで画家として才能を発揮し、建築、科学、解剖学の分野にまで関心を広げ「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ。一方で、10代から頭角を現し「神のごとき」と称された世紀の天才彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ。彼らが生きたのは、古代ギリシア・ローマの古典文芸復興を目指す運動としてイタリアで開花したルネサンス。「自然」をあるがままに再現するため、解剖学に基づいた人体の把握、遠近法に則った奥行きや立体感、陰影法に忠実な表現といった基本的な規則が順守されていた時代だ。
また、この頃は「自然を母とし、素描を父とすると、建築、彫刻、絵画の三姉妹がいる」という関係が強調されていた。自然に則してデッサンすることは各芸術の基本中の基本であり、決して軽んじることはできないもの。そして2人は、芸術家の力量を示す上で最も重要とされる、その素描に秀でていたと言われる。本展は、2人の天才を対比させる日本初の展覧会。稀少な素描はもちろんのこと、油彩画、手稿、書簡など、トリノ王立図書館やカーサ・ブオナローティ所蔵品を中心に、日本初公開を含むおよそ65点を紹介する。彼らの作品を見比べられる貴重な機会、まずは本記事で予習して足を運んでみてはいかがだろう。
■斜線の重なりによって濃淡を表すレオナルド
左利きのレオナルドは左上から右下へのハッチングが特徴的で、作品をよく見てみると、斜線の重なりによって濃淡が作られている。目玉作品のひとつ《少女の頭部/<岩窟の聖母>の天使のための習作》を観察してみると、左眼の上瞼、目元、左頬、ほうれい線、口元などに鉛白によるハイライトが施されているとわかるだろう。
彼の絵画のもう一つの特徴が、性格と外見の呼応に目を向ける学問「観相学」に基づいた表現。《老人の頭部》はその逸作といえる。緻密に描写された口元を硬く結ぶ老人からは、彼の頑固さが浮かび上がってくる。また、《髭のある男性頭部(チェーザレ・ボルシャ?)》は同一のモデルを異なる3方向から描いた作品で、彼の絵画の他視点性が強調された作品とも考えられる。
■クロスハッチングで描くミケランジェロ
レオナルドとは対照的に、右利きのミケランジェロ。彼はクロスハッチングという斜線を交差させる描き方をしていた。《<レダと白鳥>の頭部のための習作》は、彼の素描としては最も知られている作品である。その手法は同作からも読み取ることができ、さらに赤チョークの濃淡によって、凹凸をより巧みに表現していることが分かる。
素描から見ても絵画の分野で才能を光らせていた彼だが、自身は「自分は画家ではない」「私は彫刻家」と述べている。とは言うものの、決して絵画を劣ったものとみているわけではない。当時行われていた比較芸術論争に対して、「画家は絵画よりも彫刻をおろそかにしてはいけないし、彫刻家は彫刻よりも絵画をおろそかにしてはいけない」という言葉も残している。
本展でも、絵画・彫刻ともに彼の秀作が揃う。特に、絵画では《背を向けた男性裸体像》《イサクの犠牲》のための習作などがあげられる。加えて、彫刻では注目作として《河神》が展示される。主題はイエス・キリストと共に十字架にかけられた盗人とされてきたが、現在はギリシア神話の河の神とされている作品だ。
■開催概要
「レオナルド×ミケランジェロ展」会期:2017年6月17日(土)〜2017年9月24日(日)会場:三菱一号館美術館住所:東京都千代田区丸の内2-6-2時間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)※祝日・振替休日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで(最終入場時間19:30)※臨時の時間変更の場合あり休館日:月曜日 ※但し、祝日・振替休日の場合は開館観覧料:・当日:一般 1,700円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 500円・前売券:一般 1,500円 (2/4~発売中)【問い合わせ先】TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)