アイドルに学歴は必要か?

2017年4月4日 21:59

 華やかな芸能界でスポットライトを浴びながら、歌って踊るアイドルたち。ひと昔前なら、彼女たちは概ね中卒、もしくは高卒で、同年代の大卒の数倍から数十倍の収入を得ることができていた。そのため、アイドルをしながら大学に進学する者は、よほど頭がよく、インテリアイドルとして重宝され、活躍の場を広げていくのが定石のようなものであり、バブル期には大学生がアイドルになったり、女優になったりするパターンも定着していく。

 それは、現在も変わらず、例えばSMAPは全員が高卒だし、AKBも前田敦子や大島優子は高卒であったりする。おそらく、人気がある現役バリバリのアイドルが、大学進学をするというパターンは、元モーニング娘。の紺野あさ美や嵐の櫻井翔あたりから、一気に増えてきた。

 アイドルに学歴が必要か? と言われれば、必要とは言い切れないだろう。しかしながら、アイドルというものが、期間限定のものであり、フレッシュさとルックスだけを消耗品のように消費される存在になりつつある現在、必要不可欠とまではいかないが、あるに越したことはない程度の重要性は帯びてくる時代になってきたことは言えるだろう。

 例えば、アイドルからアナウンサーになった市來玲奈(乃木坂)、柴田阿弥(SKE)、中村麻里子(AKB)はいずれも大学卒だし、アイドルを引退後、一般職になるにも、学歴はものをいう。

 しかし、大学に入学することで「アイドル活動を本気でやっていない」と決めつけ、クレームをつける厄介なファンもいるため、大学進学はアイドル活動の足かせになる可能性も高かったりする。このへんな本当にセンシティブな問題で、正解などないわけであるが、AKBGや坂道グループでは、積極的に学業優先を認める姿勢をみせている。

 例えば、乃木坂の場合、先に挙げた市來や、人気メンバーの生田絵梨花は休業をさせているし、握手会なども学生メンバーの場合、試験と重なった場合などはそちらを優先させることが多い。AKBは劇場公演などの絡みもあるので乃木坂ほど緩くはないが、それでもアイドルと学業を両立できるよう、スケジュールの調整などは、かなり綿密にサポートしているという。

 それにしても、アイドルから、女優・歌手・タレントへと進む道は、年々厳しくなっている。というより、アイドルに求めるものと、その先の道に必要なスキルとの違いを理解しないファンが増えたということが、何より彼女たちの進路を悩ましいものにしている。

 期間限定で使い潰されるリスクを承知でアイドル道を極めるか、保険をかけたと中傷され、アンチを抱え込むリスクを容認して、バランスを取った進路を考えるか……。

 昨今のアイドルの複雑な事情が透けて見えるようだ。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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