混迷し形骸化したAKB総選挙に明日はあるか?
2017年4月3日 17:14
今年もAKB48グループによる選抜総選挙の時期がやってきた。今年は6月17日に、沖縄県豊見城市にある豊崎美らSUNビーチで開票イベントが開催されることが発表されており、ファンやメンバーは選挙対策に取り掛かっているという。
2009年の第1回総選挙は、選抜メンバーの固定化に対する声や、発足したばかりだった姉妹グループSKEのファンたちの声を受け、これまでの運営主導の選抜構成ではなく、純粋なファン投票で選抜を決めようというもので、選挙結果は次回シングル曲(第1回のときは『言い訳May be』)に反映されるだけの、1回限りのお祭りという趣旨であった。
結果として、第1回の1位は下馬評通り、固定センターだった前田敦子が制し、下剋上を期待したファンは、それまで選抜に入ったこともない佐藤亜美菜を8位に押し上げることで、ささやかな溜飲を下げるにとどまったものの、第2回総選挙では大島優子が優勝し、初のセンターをつとめることになり、大いに盛り上がったものである。
その後、投票が一人一枚ではなく、勝ったCDについている投票権さえあれば、一人で何票も投票できるということがCDの売り上げに直結するためか、AKBGにとってはなくてはならないイベントに成長する。第4回までは事実上の全員参加であったが、第5回からは立候補制となり、立候補しない選択肢もできたのだが、立候補しないメンバーは多くがその後卒業しており、ファンもやきもきしながらエントリーを見守っている。
そこへ飛び込んできたのが、有力メンバーである、柏木由紀と山本彩が今回の選挙への不出馬を表明したというニュースである。
実は、立候補制になったここ数年、出馬をするかどうかは、メンバーにとっては大変難しい選択となっている。もはやAKBの顔として、揺るぎようのない連覇中の指原莉乃に対抗できるメンバーは見当たらず、話題となるのは選抜、あるいは下位入賞の顔ぶれ程度。
それならば投票権目当てにCDを購入する金は、自分の写真集とか、所属するグループのライブへの遠征費用とか、ソロイベント、あるいは握手会などに使ってもらった方が将来につながる。また、人気のあまりないメンバーのファンも、ランクインが難しいメンバーには、たとえ推しであったとしても死票になるのを嫌って投票をしなくなるため、非常に厳しい数字がつきつけられてしまう。
正直、メリットとデメリットをはかりにかけてしまうと、デメリットのほうが大きいというケースも目立つのである。
膨張する一方のAKBGだけに、総選挙への参加人数は増加し、CDの売り上げは期待通りに右肩上がりではあるだろうが、大物2人の総選挙辞退、また指原莉乃の「今年が最後」宣言は、もはや総選挙が形骸化し、意義を失ったことへの、内部からの警鐘ではないかという気もするのである。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)