ロボットスーツ「HAL」が建設現場に、大林組が作業支援用に導入

2017年4月3日 11:47

サイバーダインのロボットスーツ「HAL」の活用分野が広がっている。同社のロボットスーツは、下肢に障害を持つ人の自立歩行を助ける「ロボットスーツHAL自立支援用(下肢タイプ)」や、肘・ヒザ関節にトラブルを抱える人をサポートする「ロボットスーツHAL自立支援用(単関節タイプ)」、介護者の腰の負担を軽減する「ロボットスーツHAL介護支援用(腰タイプ)」など、主に福祉の現場で人の力をアシストする用途で活用されてきた。

今回、総合建設業の大林組は、「HAL作業支援用(腰タイプ)」を建設現場に本格導入を開始する。同社が導入する「HAL作業支援用(腰タイプ)」は、建設現場での作業性と快適性を高めるため、従来のものから装着性が改良されている。体の微弱な電気信号を検知する電極を、従来の体に貼るタイプから腰に巻くベルトタイプに変更。腰部などに直接装置が接触するのを防ぐクッション材を装着できるようにしている。同社はこれまで7現場で10台のHALを導入し、電極が汗などで剥がれる貼るタイプから腰タイプへの変更など、実証段階での改良を行ってきた。今後は防水・防塵機能のあるHALを、夏過ぎにも現場に投入する計画。屋外でも使えるため建築現場だけではなく、土木現場での利用も想定する。中腰作業における腰への負担を軽減するタイプのHALも、早ければ2017年中に導入したい考え。

全日本空輸(ANA)も手荷物運搬時の作業負担の軽減に「HAL作業支援用(腰タイプ)」の活用を進めている。16年11月から、成田空港でHALを試験導入し、受託手荷物の運搬時における作業負荷の軽減効果を確認。追加導入により検証体勢を強化する。また、手荷物運搬以外にもグランドハンドリング(地上支援)や航空機部品の運搬など検証分野を拡大し、国内主要空港にも展開していく方針。

体に負担がかかる作業を伴う職種は敬遠されがちで、介護、建設、荷物運搬といった業態での人手不足が深刻化している。少人数で業務を担う者にはさらなる作業負担が集中することも大きな課題となっており、ロボットスーツの活用で、これを軽減し、労働環境の改善に伴う担い手の呼び込み効果が期待されている。(編集担当:久保田雄城)

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