恐竜の誕生と系統に関する、定説を覆す新仮説
2017年3月27日 06:25
Natereの最新号に、恐竜の進化的関係と系統樹に関する、既存の定説を覆す新しい仮説を提唱する論文が掲載された。
その「新しい仮説」を紹介する前に、まず、「既存の定説」の方から説明していこう。恐竜、という概念が初めて生まれたのは、1842年ことである。その後、恐竜という概念はいくつかのグループを含むものとして分類学の中に組み込まれた。
簡単にいえば、恐竜は、鳥盤類と竜盤類の2つからなる、とされた。これが130年ほど前のことである。鳥盤類には、イグアノドン、トリケラトプス、ステゴサウルスなどが含まれる。
竜盤類は獣脚類と竜脚形類の下位カテゴリに分けられる。前者にはメガロサウルス、ティラノサウルスなどが含まれ、後者にはブラキオサウルス、サルタサウルスなどが含まれる。
ちなみに、プテラノドンなどの翼竜類はかなり古い段階で枝分かれしたもので、恐竜のうちには含まれず、また鳥の祖先でもないと考えられている。鳥は獣脚類の仲間というのが現在の説である。
さて。では、今回の新しい仮説を見てみよう。マシュー・バロン氏とその研究グループは、さまざまな初期の恐竜の調査を行い、457項目に及ぶ特徴を分析し、鳥盤類と竜盤類に加わる3つ目の新しい分類グループの存在を提唱した。鳥盤目と獣脚亜目、またいくつかの肉食恐竜をここに含めるべきである、という。
この新しい仮説に従うと、恐竜の初期進化について新しいストーリーが提示されることになる。初期の恐竜は小型で、雑食で、ものを掴むことのできる手を持っていた。また、恐竜の起源はこれまでゴンドアナ大陸(現在のアフリカ、南アメリカ、インド、南極、オーストラリアなどを含んでいた超大陸)であると考えられてきたが、それも実際には北半球だったのではないか、という可能性が生じるという。バロン氏は、恐竜の登場の時期とその環境的要因について、再評価する必要があるとしている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)