部品交換をIoTで最適化 三菱電機、鉄道車両の予防保全システム開発へ
2017年3月25日 11:06
三菱電機はIoTを活用した鉄道車両予防保全システムを開発する。運転台などに設置され、車両データを収集して表示するシステム「車両統合管理装置(TCMS)」にIoTを活用した機能を付加することで、運転の最適化に加えて部品交換時期の事前通知が可能なシステム構築を目指す。
TCMSでは、鉄道車両のモーターやブレーキ、空調、車内案内モニターなどの状態を把握し、適切な制御につなげる。列車編成全体の機器を統合制御することで、車両ごとのブレーキの使用を最適化したり、走行位置ごとの最適なスピードを乗務員に示し省エネ運転を支援したりできる。同システムにセンシングによるデータ収集の仕組みを付加することで、消耗品や電子機器の劣化状況を判断し交換時期の最適化を図る。正確な予防保全を実現するためには、大量データを収集し、分析により劣化状況の検知精度を高めることが不可欠となるため、同社は鉄道会社との連携を強化し開発を進める方針。
機械設備の予防保全でのIoTの活用は、製造業ではすでに導入されつつある。日立パワーソリューションズの予兆診断サービスでは、機器の状態を常態監視し故障の予兆を捉えて通知する。さらには故障原因の推定や故障時期の予測に関するサービスも提供予定だ。Preferred Networksはファナックと連携して、工作機械やロボットに対して機械学習を用いることで、高度に最適化された動作や補修を自律的に行う「止まらない工場」の開発を推し進めている。こうしたIoTを活用した予防保全サービスは、機器の稼働率の向上や保守費用の低減が実現できることから急速にニーズが高まっている。
三菱電機は車両を動かすモーターからブレーキ制御装置、空調機器まで、車両用電機品を幅広く手掛けており、この分野での優位性を発揮できるとしている。鉄道車両の予防保全は製造業と比較しても精度が安全性に直結する分野なだけに新規参入が難しいと考えられる。製造業ではすでに新潮流となっているIoTを活用した予防保全システムを、鉄道車両に応用して効率化を図る意義は大きい。(編集担当:久保田雄城)