メゾン ミハラヤスヒロ、2017-18年秋冬コレクション発表
2017年3月22日 18:07
メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)の2017年秋冬コレクションがイギリス・ロンドンで発表された。
ファッションの価値観は時代とともに変化している。デザイナー三原康裕は、これまであらゆる手法を駆使して、独自にファッションを紐解いてきた。そして、行きついた今シーズンの切り口。キーワードとしたのは“シンプル”だ。“ベーシック”や“スタンダード”などと解釈されるこの言葉に、向き合った結果をランウェイで表現している。
“ベーシック”なフォルムから解き放たれるスタイルは、クラシカルかつエレガント。ブランドらしいハイブリッドな要素は一目では感じられない。そんななかで三原らしいポイントとしたのは、デフォルメしたディテールの数々だ。ダブルのウールコートやハイウエストのワイドパンツに配されたウエストベルトは、まるでコルセットのように太い。他が“シンプル”だからこそ、それらが強調されている。
ダウンコートは、ダウンらしからぬフーディーやチェスターコートのようなシルエットで提案されている。フロントをフラットに仕上げることで際立つポケットの存在が面白い。アノラックパーカーは、フードの紐が特大で、スポーティーなルックのポイントとして揺れ動いている。
カラーパレットも統一されたシンプルなもの。ひとつのルックをひとつのカラーでまとめるスタイルが目立った。異色的だったのは、後半に登場するファーとメッシュのドッキングであり、ランウェイの中では主張的に映った。メッシュの下からファーの毛を飛び出させることで完成した文字は、シンプルを覆し、三原らしいハイブリッドを感じさせた。
ひとつひとつの手法がシンプルだからこそディテールに託したメッセージが際立った今シーズン。全体でみれば、メッセージを描いた終盤のルックこそが、シンプルなランウェイに込めた強いアプローチなのかもしれない。