昆布などの成分「フコース」が肥満を抑制 東大が実証

2017年3月22日 11:56

 世に、「これを食べただけで痩せる」だの「これを摂れば太らない」だのと謳い上げた商品は山とあるが、多くは気休めか実際には効果がないものだ。だが、どうやらこの話は本当のようだ。東大などの研究グループが、昆布など褐藻類に多く含まれる「フコース」という成分が、哺乳類において肥満を抑制することを解明、実証した。

 褐藻類とは、昆布・ワカメなどの属するコンブ目、ヒジキの属するヒバマタ目などに分けられる、海藻の一種である。色が茶色を示すものが多いことからこの名がある。

 フコースは糖の一種である。糖のヒドロキシ基を水素に置換したものをデオキシ糖といい、フコースはこのデオキシ糖に含まれる。珍しい物質というわけではなく、陸上植物ではたとえばダイコンなどにも含まれているし、ヒトの母乳中にも存在している。

 研究グループは、このフコースに着目し、高カロリーの餌を与えたマウスにおいて、フコースを摂取させた場合と摂取させない場合など、様々な条件下で実験を行った。

 結論を簡単にいうと、同じ餌を与え、フコースをそこに加えた場合、マウスの体重は増えにくくなる。また、内臓脂肪の量が顕著に低下することもこの研究で得られた知見の中の特徴である。

 フコースを投与したマウスの肝臓を解析したところ、脂質代謝に関連している因子の発現に大きな影響が及んでいることが分かり、つまり、フコースは遺伝子発現のレベルでも脂質の蓄積を抑制し、脂質を別のものに変える作用を促進することが裏付けられた。

 総合的にいえば、フコースという物質は、脂質の代謝を制御し、内臓脂肪や体重の増加に強く影響している物質であったらしいことが突き止められたというわけである。

 なお、本研究については、既に終了しているがこの3月に行われた日本農芸化学会2017年度大会で詳細が発表された。

 将来的には、フコースを利用するダイエットサプリメントなどが普及することになるのだろうか。期待して待たせてもらおう。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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