筑波大学らが「時間結晶」の室温観測に成功

2017年3月17日 18:37

 筑波大学が、「時間結晶」の室温観測に成功したと発表している。

 液体や気体は、空間に対して均一な性質を持っており、たとえば物理的な位置や向きが変わってもその性質は変わらない。この性質を並進対称性と呼ぶ。いっぽう固体(結晶)については、原子が規則的に並ぶことによってこの並進対称性が破られ、位置や向きに応じた異なる性質を持てるようになる。この性質は結晶の単位毎に周期的に繰り返されることから「離散的並進対称性」と呼ばれている。

 物理的な位置や向きだけでなく、時間的にもこの並進対称性は存在すると考えられている。そして、同様に時間軸においても離散的並進対称性(時間的な繰り返しの周期性)を持つ可能性があることが2012年に発表された。このような状態を、液体や気体が固体になる変化になぞらえて「時間結晶」と呼ぶ。2015年には平衡状態では時間結晶が存在しないことが証明されていたものの、非平衡状態では存在の可能性が残されていたという。

 今回の実験では、ダイヤモンド窒素-空孔中心(NVセンター)と呼ばれる、炭素原子の代わりに窒素原子が結晶中心部に存在する構造を持つダイヤモンド結晶を使い、このダイヤモンド結晶から取り出した量子電子スピンを用いて時間結晶の生成とその観測を行ったという。その結果、一定の周期で初期状態に戻る振動が長く続くことを観測、時間結晶の存在を確認できたという。

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