福島県産食品、「購入をためらう」人の割合15%、過去最低に
2017年3月9日 21:27
消費者庁は8日、「風評被害に関する消費者意識の実態調査」の第9回目の結果を発表。放射性物質を理由に福島県産品の購入をためらう人の割合が、半年前の調査から1.6ポイント減って15.0%となり、これまでの調査の中で最も低い数値となった。
消費者庁では、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、「食品と放射能に関する消費者理解増進チーム」を設置。風評被害対策に取り組んでいる。同調査はその取組の一環として行われたもので、2013年2月以降半年ごとに実施され、今回で9回目となる。調査は先月2月2日から10日にかけて、被災地域(岩手、宮城、福島、茨城)と被災地産品が消費される都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫)の消費者を対象としてインターネットでアンケート調査を行い、約5,100人から回答を得た。
食品購入時に産地を「気にする」と「どちらかといえば気にする」と答えた人の回答の合計は全体の65.3%(3,378人)。このうち、産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と答えた人は28.4%の961人(回答者全体の18.6%)だった。第1回目の調査では、産地を気にする理由としてもっとも多かったのがこの理由だったが、6回目以降は品質(味)、価格、鮮度に次いで4番目に多い理由となっている。
また「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と答えた961人のうち、購入をためらう産地を尋ねたところ、最も多いのが「福島県」の15%。次に多いのが「被災地を中心とした東北(岩手、宮城、福島)」で9.9%。以下「北関東(茨城、栃木、群馬)」が4.8%、「東北全域(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)」が4.1%、「東日本全域」が2.0%となっている。
福島県産品の購入をためらう人の割合は過去最低にはなったものの、購入をためらう産地として「福島県」と答える人が突出して高い状況は未だ続いている。今回の調査では、食品の出荷に際して放射能検査が行われていることを「知らない」と答えた人が全体の35.2%に及ぶという結果も出ており、安全性を訴えるための情報発信、正確な知識の普及活動を今後さらに推進していく必要があるだろう。(記事:荒川・記事一覧を見る)