世界のうつ病患者、10年で18%増の3億2200万人に
2017年3月7日 12:27
2015年12月に発表された厚生労働省による「平成26年患者調査」によると、日本でのうつ病患者数は約112万人となり調査開始以来最多となったが、世界保健機関(WHO)による15年時点の推計ではさらに深刻な数字が発表されている。WHOによれば、世界でうつ病に苦しむ人は3億2200万人となり、05年から約18%増加している。地域別にみると、アジア・太平洋地域で全体の約48%を占め、日本は約506万人となった。医療機関を受診している人以外も含む数字となっているため厚生労働省の調査と大きな開きが見られる。
うつ病は自殺のリスクが高い疾患として知られ、日本における自殺企画者の4分の3は精神疾患を伴い、そのうち半数近くがうつ病を伴っているとされる。15年の世界の全自殺者数は推計78.8万人で、死者全体の約1.5%を占め、5~29歳の若年層の死因で2番目に多いものだ。日本について見れば、自殺者は12年までは3万人を超えていた。WHOが発表した12年での自殺者の割合が多い国ランキングでは日本が18位にランクインしており、10万人中18.5人だった。近年日本の自殺者数は減少傾向にあり17年には2.5万人を割っているが依然として若年層の死因のトップとなっている。
上記自殺者の割合が多い国を見ると、アジア・太平洋地域の国が目立っており、2位の北朝鮮(10万人中38.5人)を始めとして3位の韓国(同28.9人)、4位のスリランカ(同28.8人)など9か国がトップ25にランクインしている状態だ。アジア・太平洋地域以外では南米やアフリカの小国が目立ち、紛争や貧困の影響により国民が過酷な生活を強いられている地域が多い。うつ病患者数の急増は、発展途上国における貧困の拡大や世界情勢の不安定化が背景にあるとも考えられ、自殺者数やうつ病患者数の減少には一国による政策のみでは難しい。日本においては、世界情勢から受ける影響が比較的少ないと考えられ、メンタルヘルスケアのさらなる拡充など改善に向けた選択肢がずっと豊富だと考えられる。(編集担当:久保田雄城)