自民党、総裁任期を9年までと改正 安倍政権長期化を視野に
2017年3月7日 09:05
自由民主党は5日、都内で開かれた定期党大会において、党総裁の任期をこれまでの「最長2期6年」から「3期9年」までと改める党則改正を決定した。これにより、安倍晋三首相(現・自民党総裁)が2018年9月の総裁選に3期目をかけて出馬することが可能となり、安倍政権の長期化が視野に入る。
そもそも、日本国の内閣総理大臣で、安倍首相よりも長く任期を務めた人物は、2017年3月現在でも、6名を数えるのみである。うち、桂太郎首相、伊藤博文首相、吉田茂首相の3名は自由民主党が誕生するよりも以前の総理大臣であるので、論じない。すると残るのは佐藤栄作首相(任期1964年~1972年)、小泉純一郎首相(2001年~2006年)、中曽根康弘首相(1982年~1987年)の3名のみとなる。
自民党総裁任期は、自由民主党が日本の政府与党である期間が極めて長いことから事実上の日本の内閣総理大臣の任期のような扱いを受けているが、厳密なことを言えばあくまでも一政党の内規である。
憲法上の規定を見るとどうなっているのかというと、そもそも、日本国憲法には、内閣総理大臣の任期の限度を定めた規定は存在しない。現行憲法下で最長の任期をまっとうした首相は、前述の佐藤栄作首相、2,798日間であるが、仮に安倍現総裁が次の総裁選で当選し、追加される3年の任期を満了した場合にはこれを抜き、さらに明治憲法下の首相である歴代最長2,886日の桂太郎首相をも超え、日本の歴代首相の中で在任期間第1位となる。
一国の総理大臣が2期6年を最長任期とする、というのは(その期間務め切った首相が数えるほどしかいないという問題をさておいても)国際的に見て決して長いものではない。
ただし、小泉元首相が2期目を満了したとき、「自民党総裁任期を延長し、首相を続けてはどうか」という党内の声があるのを退け、規定の任期を守って権力の座から降りたという前例がある、ということもまた事実である。
長期政権というものの弊害について、特に、現政権が自らの任期を自らの手で延長するという行為の是非について、一般論を述べるならば色々と語るべきことが無いでもないのだが、日本は民主主義国家であり、党内の内規をどうしようと「国政選挙で勝ち続けない限り、同一政権を維持することはできない」という大前提がある以上、それをこの場でこれ以上論じるのはやめておく。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)