生き残りをかけルネサスが組織改正

2017年3月5日 18:40

 ルネサス エレクトロニクス<6723>が、買収を完了したIntersil Corporationとの事業統合も踏まえて、3事業本部体制への改編など段階的に組織を改正を発表した。「One Global Renesas」を企図した新組織体制に2017年7月までに移行していくという。

 同社は、確実に収益をあげる企業体質を目指して2013年10月より推進してきた「変革プラン」を2016年3月末に終了し、安定的な経営基盤の確立に一定の目処をつけた。今後グローバルに勝ち残るために、2016年11月2日に「中期成長戦略」を発表し、成長の加速化に向けた事業ポートフォリオの拡充・強化に現在取り組んでいる。こうした取り組みの一環として、パワーマネジメントICや高精度アナログなどのアナログ半導体の開発、製造、販売・サービスを手掛けるインターシルの買収を決め、2017年2月24日付で買収が完了した。

 今後はインターシルとの融合を進め、日本を中心としたこれまでの事業運営から脱却し、地域に捉われずグローバル組織として運営する「One Global Renesas」を企図した真のグローバルカンパニーを目指す方針だ。同時に販売マーケティング部門、事業部門などの機能別組織を改め、責任範囲の拡大と明確化による新たな事業体制への進化、またサプライチェーン機能の一体強化、特定地域での戦略的な事業強化を行い、盤石な組織体制を段階的に構築していく。

 主な組織改正内容は、(1)3事業本部体制への改編(2017年4月1日付および7月1日付)。インターシルの事業を融合するにあたり、同社の汎用事業を担う「第ニソリューション事業本部」を、“特定分野別ソリューション等を基軸とする事業本部”とインターシルとの融合による高成長が期待される“幅広い顧客層・エンドマーケット向けの多種多様なソリューションを基軸とする事業本部”の2本部体制に改編し、それぞれ「インダストリアルソリューション事業本部」、「ブロードベースドソリューション事業本部」とする。そして、自動車を担当する「第一ソリューション事業本部」も「オートモーティブソリューション事業本部」と改称し、同社全体で、これまでの2事業本部体制から3事業本部体制に改編する。

 (2)サプライチェーンマネジメント本部の新設(2017年7月1日付)。現在、生産戦略、生産・投資管理、生産指示、資材調達のサプライチェーンマネジメント関連機能が各事業本部などに分散しているため、同機能を集結した「サプライチェーンマネジメント本部」を2017年7月1日付で新設する。これにより、生産から調達までの戦略を一本化し、意思決定の迅速化とサプライチェーンマネジメントを全体最適化し、顧客への同社製品の安定供給体制の強化を図る。

 (3)中国事業統括本部の新設(2017年3月1日付)。インターシルを融合した事業本部を軸としたグローバルな組織運営を志向する一方、特に成長機会が大きい中国においては、地域特有の取り組みが個別に必要と判断し「中国事業統括本部」を2017年3月1日付で新設し、地域事情に特化した取り組みの強化を開始した。同社の執行役員が統括本部のトップとして現地に駐在し、中国市場の需要に応じて、現地での販売・マーケティング、設計開発、生産機能を一体化させた取り組みを強化し、高い成長を目指す。

 ルネサスは少しづつ復活を遂げようとしている。日本の半導体メーカーとして、最後の砦ともいえるだけに、今後の動向が注目される。(編集担当:慶尾六郎)

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