広がる警察官の採用条件緩和、体格基準撤廃や年齢制限引き上げ
2017年3月5日 18:42
有効求人倍率が過去最高となり、団塊世代の大量退職も相まって、企業の人手不足が報じられている。警察官の採用にも人材確保の厳しさが現れており、体格基準の撤廃や年齢制限の引き上げによって門戸を広げ、人材確保を狙う警察本部が増えている。
岐阜県警は2月22日、今春の採用試験から従来受験資格としていた身長や体重といった体格基準を撤廃し、受験できる年齢も引き上げると発表していた。同県警はこれまで身体能力を測るために基準を設けていたが、必要な体力があれば体格で門前払いをする必要はないと判断を変更。
男性は身長160センチ以上、体重47キロ以上、胸囲78センチ以上、女性は身長150センチ以上、体重43キロ以上という基準を設けていたが撤廃。また受験時点の上限年齢も従来の30歳以下から34歳以下とした。
同県警の採用試験の倍率は16年度が4.8倍で、初めて5倍を下回り、人材確保に対して危機感をつのらせているという。
こうした体格基準の撤廃や年齢制限の引き上げは同県に限ったことではない。京都府警では15年度の採用試験受験者数が1503人で、10年前と比べると半減。16年度から体格基準を撤廃した他、これまで10月採用に限っていた大学や高校既卒者も4月採用を選択できるようにするなど、受験条件を緩和。更に就職活動中の学生の不安を除くための個別相談会も導入し、今後インターンシップの導入も検討するなど、優秀な人材確保に躍起だ。
佐賀県警でも同様に16年度から体格基準の撤廃を行なったほか、体力測定から「握力」を除外するなど条件を緩和。更に英語や情報処理などの資格があれば評価する加点制度を導入。幅広い知識や技能をもつ人材の採用に努めている。
景気が良くなり、企業の採用が増えたり、賃金が上昇したりという傾向が出てくると、公務員志望者が減少するという傾向はバブル期を思い出させる。一方で国民の生活を守る警察官は必要不可欠な存在だ。体格基準や年齢制限が緩和され、受験しやすくなってきた。条件に合わなくて採用試験の受験を諦めていた志高い方は、もう1度条件を確認してみて再チャレンジしては如何だろうか。(編集担当:久保田雄城)