パナソニックが宅配ボックスの効果を実証 再配達率が49%から8%に減少
2017年3月2日 11:59
パナソニック、 エコソリューションズは、先月24日、共働き世帯を対象とした「宅配ボックス実証実験」の中間報告を発表した。宅配ボックスを設置した家庭では再配達率が49%から8%に減少し、労働時間は約65.8時間、CO2は約137.5kg削減できた。
この実験は、福井県あわら市が進める「働く世帯応援プロジェクト」の一環として行なわれている。2016年11月より開始され、共働き世帯に宅配ボックスを設置することで、再配達にかかる手間やエネルギー、労働時間などのロスがどれだけ改善できるかの実証を進めている。使用した製品は、パナソニック社製の戸建住宅用宅配ボックス「COMBO(コンボ)」。荷物を入れた後に施錠および受け取り印の押印ができ、電気や電池も不要となっている。
今回のデータは2016年12月時点の中間報告だが、再配達に関する様々な課題が大幅な改善を示した。実験開始前の10月と比較して、再配達の回数は299回削減。宅配ボックスを使用できなかった例もあったが、その理由は「冷蔵・冷凍だった」「大きすぎて入らなかった」「ボックスが既にいっぱいだった」などの不可抗力といえるものが主で、全体的には良好な結果だと言えよう。
また、再配達の更なる削減に必要なポイントとして、以下があげられている。 (1)宅配業者に宅配ボックスの使用方法を周知徹底する。(2)冷蔵・冷凍の荷物やサイズの大きな郵便物など、様々なニーズに対応できる宅配ボックスが必要
(2)は一朝一夕には困難なニーズだが、冷蔵機能付の宅配ボックスはすでに他社から登場しているため、今後宅配ボックスの普及が進めば、そのような製品の一般化も進むかもしれない。
なお、この実証実験の最終結果は4月に発表される予定だ。その際には配達率は約8%前後、再配達の削減回数は700回以上になると予測されている。
国土交通省が15年9月に発表した「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」の報告書によると、宅配便の走行距離の約25%は再配達のために費やされているという。これらの労力、エネルギー、時間などのロスを減らして流通の効率を上げるために、宅配ボックスの活用に期待がかかっている。(編集担当:久保田雄城)