ホテル推定取引額、16年は約3640億円 リーマンショック以降最高更新

2017年2月27日 08:28

 JLLのホテルズ&ホスピタリティグループが実施した日本におけるホテル資産取引についての独自調査によると、2016年通年の取引ホテル数は60ホテルとなり、2017年2月末日集計時点)、2015年(117件)との比較において大きく減少した一方、推定取引額については約3,640億円に達し、2015年(約3,370億円)を約8%上回る結果となった。ホテル資産取引額については、リーマンショック以降の最高額を更新した。

 2016年においては、ホテル収益の向上および金利低下に伴う全般的な取引利回りの低下により、ホテル資産価格が上昇したことで、取引額が100億円を超えるような大型取引も散見され、結果として取引金額の増加に繋がった。

 また、2016年については、日本における商業用不動産資産全体(ホテル含む)の取引額が約11%減少したにもかかわらず(JLL推計)、ホテル資産取引額は増加しており、引き続き日本のホテル投資に注目が集まっていることが伺えるとしている。

 買主属性別の取引額をみると、外資系投資家のホテル資産購入が減少した一方、J-REITによる取引が増加した。2016年はJ-REIT全般的に投資口の価格下落が見られたが、ホテル特化型リートの新規上場もあり、また、総合型リートもホテルへの積極的な投資姿勢を示すなど、ホテル投資市場におけるJ-REITの存在感が増しているという。

 同グループのエグゼクティブバイスプレジデント 寺田八十一氏は次のように述べている。「2016年後半から東京や大阪ではホテルの運営パフォーマンスが伸び悩みましたが、ホテル資産に対する投資家の資産購入意欲はその属性を問わず衰えていません。世界的に投資・金融マーケットのリスク要因が増す中、日本の不動産資産、とりわけホテル資産については安全資産とみなされ、相対的に投資意欲が高くなっているとも言えます。」

 また、同グループのマネージングディレクター 沢柳知彦氏は次のように述べている。「当社が取り扱っているホテル売却案件についても、国内投資家・海外投資家を問わず、投資家層が広がるとともに、引き合いが増えています。ホテルの売り物件が限られる中、優良物件については多くの買手候補者からの関心が集中するという状況も見られます。2020年のオリンピックを控えて、今後観光インフラが更に充実していくこともあり、日本のホテルの資産はまだ価格上昇余地があると考えている投資家も多いようです。」(編集担当:慶尾六郎)

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