広がるAIの医療応用 内視鏡でも病理診断
2017年2月25日 20:42
CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアによるソリューション提供のサイバネットシステムは昭和大学と共同開発の内視鏡診断の新手法について特許を取得。同手法により病理診断予測を支援する。同手法では、消化管粘膜の細胞・核をリアルタイムに観察できる超拡大内視鏡(EC:Endocytoscopy)による診断において、EC画像に写った細胞核の特徴付けを自動で行い、画像全体のテクスチャー解析から抽出した200以上の特徴量と統合することで病理診断予測を支援する。
内視鏡の高解像度化により、これを活用することでの高精度の診断画像取得が可能となり、ポリープの診断がその場でできるようになった。一方、リアルタイム診断では熟練者による画像からの判断が求められるといった課題を解決する手段として、機械学習により熟練者の目を実装した診断支援システムを開発。同システムの活用で、医師のスキルに依らず超拡大内視鏡での高精度の診断が可能となる。
同手法の開発では、将棋ソフトなどにも用いられている「SVM(Support Vector Machine)」という機械学習が使われた。医療分野は機械学習による発展が最も期待される領域のひとつ。たとえば、明確ながん治療法があてはまらない患者に対してのがんプレジョン医療においても、「Landscaping」という少数データから学習可能な機械学習法による診断システム開発で、治療率6倍という目覚ましい成果が期待されている。このように、診断支援システムでの活用がさかんな機械学習だが、医療システムの効率化への寄与も期待されており、電子カルテのデータや特徴量をから、患者の受診中断を高精度で予測するシステムといったものの開発が進められている。
医療専門職の不足や地域による偏り、高齢者増加による医療機関のキャパシティーオーバーや医療費増大など、医療をとりまく課題が山積している。また、医療は誰もが関心の高い分野であることからも、AIの適用優先順位が高い分野だといえる。こうしたことから、機械学習による医療システムの効率化や高度な教育と経験を要する医療専門職の支援および代替が今後も加速すると考えられる。(編集担当:久保田雄城)