個人の自己破産件数 13年ぶりに増加

2017年2月22日 09:13

 最高裁の統計によると、2016年度個人の自己破産申請件数は6万4637件であった。自己破産件数は03年の24万2357件がピークで、それ以降は減少傾向にあったが、昨年13年ぶりに増加した。

 これまで減少傾向にあったのは消費者金融などのノンバンクからの無担保貸付残高が減少してきたのが要因だ。90年代後半から自己破産件数が増加し、厳しい取り立てや多重債務による自殺者が増加するなど借金に対する問題が表面化。グレーゾーン金利といった言葉も話題となった。06年から施行された貸金業法の改正に加え、利息制限法の上限を超える過払い金の返還や、債務整理も一般的になってきて、自己破産件数自体は減少した。

 しかし銀行のカードローンの利用者は増加。日銀によると11年から16年までの5年間で残高が1.6倍にまで拡大した。こうした銀行カードローンが自己破産件数の増加の要因になっていると考えられる。これまでノンバンクの金融機関で借金をしていた人が、銀行系カードローンにシフトしている動きがある。金融庁は新たな多重債務の温床として問題視。1月には銀行首脳との会合で「金融庁として、銀行カードローンの在り方についてこれから各行と議論していきたい」と述べた。

 一方、銀行の立場としてはマイナス金利制作の影響によって利益の確保が難しいという現状があり、カードローンが大きな収入源となっている。個人向けの貸出は少額であるものの、高い金利が取れるので各行とも力を入れている。銀行に行くと「手軽に使える」「もしものときに備えて」とカードローンの契約を勧められることも多い。

 銀行という信頼感と、無担保でもATMから借り入れができる手軽さがあり、無担保貸付も魅力的だ。しかし借金をしていることには変わりがない。少ない金額だからすぐ返せると思っていても、利子が膨らんで自己破産に繋がることはよくあることだ。安易な気持ちで借金をするのは控えて自分の身は自分で守ろう。(編集担当:久保田雄城)

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