雪の結晶から降雪現象の実態を解明 「関東雪結晶プロジェクト」が発足
2017年2月21日 12:02
首都圏の降雪現象の実態を解明するために、気象庁気象研究所が、雪の結晶の画像を募集している。結晶の状態から雪を降らせる雲の特性を明らかにして、天気予報の精度の向上をはかるという。寄せられた画像は、個人情報に十分配慮した上で、研究および教育目的に利用される。
関東を含む首都圏では、わずかな雪が積もっただけで交通などに甚大な影響が出る。そのため天気予報の精度の向上が求められているが、もともと雪が少ない土地のため、降雪のデータが十分蓄積されておらず、研究が滞っている。そこで、一般から雪の結晶の画像を募集して、その構造から首都圏の降雪現象の実態を解明することとなった。
首都圏の降雪現象の中で特に不明なのは、雪をもたらす雲の物理特性だという。雲の中がどのような大気状態になっていて、どのような雲や降水粒子が成長していくのか。これらを解明するためには、既存のレーダー等による観測に加え、地上に落ちてきた雪の結晶の観察が必要となる。結晶の画像から読み取った構造を研究することにより、雨になるか雪になるかを高い精度で判別したり、関東甲信地方の天気予報の精度の向上が期待できるという。
画像の送付方法は、メールもしくはTwitterへの投稿だ。いずれも撮影日時と撮影場所を添える必要があり、メールの場合は気象庁気象研究所の予報研究部第三研究室に送付する(メールアドレスはホームページhttp://www.mri-jma.go.jp/Dep/fo/fo3/araki/snowcrystals.htmlを参照)。Twitterに投稿する場合は、「#関東雪結晶」というハッシュタグ(投稿内容を区分して共有するためのタグ)を付ける。ただし、後者は撮影場所などの情報がSNS上で不特定多数の人の目に触れるため、市町村までの記載で構わないそうだ。
雪の結晶の撮影は、スマートフォンの最大ズームによる接写か、カメラで行なう。黒や青などの濃い色の生地の上に載せて、ものさしや硬貨と共に撮影すると、結晶の大きさが判別しやすくて研究に役立てやすいそうだ。必ずしもきれいな結晶である必要はなく、とにかく多数の画像を求めているという。珍しい関東の雪を観察しながら、将来の天気予報の精度向上のために協力してみてはどうだろうか。(編集担当:久保田雄城)