米国の「ZEV規制」をクリアする尖兵、トヨタ・プリウスPHV、遂に発売

2017年2月16日 09:02

 トヨタ自動車は、プラグインハイブリッド車(PHV)をハイブリッド車に次ぐ「次世代環境車の柱」として位置づけ、大幅な商品強化に取り組んできた。2012年1月には、電気利用の本格普及を目指し、初代プリウスPHVを発売。現在までに日本で約2万2000台、欧米などを含めたグローバルで約7万5000台を販売してきた。

 今回、トヨタはそのプリウスPHVをフルモデルチェンジし、全国のトヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店を通じて2月15日に発売した。

 新型プリウスPHVは、「プリウス」の特徴である環境性能を大幅に進化させたことに尽きる。加えて、電気自動車(EV)らしい力強くスムーズな走りを実現。未来感あふれる先進装備に加えて充電の利便性も向上させ「クルマ」として進化を遂げた。

 PHVは、日常の通勤や買い物などではガソリンを使わないEVとして走行し、電池がなくなってもハイブリッド車として長距離ドライブを行なえる柔軟性が大きなポイントだ。トヨタは、PHVを“人とクルマと自然が共生する”社会を目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」の基幹車種としており、商品強化に取り組んでいくとしていた。

 もちろん、米国の「ZEV規制」をクリアするべく放たれたトヨタの尖兵という役目を担う。

 新型は、大容量リチウムイオン電池の搭載し、プラグインハイブリッドシステムの効率化によりEVモードにおける走行距離を68.2kmに拡大、その際のEV走行最高速度も135km/hとし、電気のみで走行できる領域を拡大した。駆動用モーターに加え、発電用モーター(ジェネレーター)を駆動にも使う「デュアルモータードライブシステム」を採用し、力強い加速を実現している。

 駆動用バッテリー専用ヒーターや、世界初の「ガスインジェクション機能付ヒートポンプオートエアコン」を採用したのもニュースだ。これによって、EVモード走行中に、エンジンが掛かりにくい状態を維持することで、燃費に貢献する。搭載する高効率エンジンは1.8リッターで、ハイブリッド走行時の燃費も37.2km/リッターの低燃費を実現した。

 EVとしての特性にも触れておこう。AC100V/6Aの普通充電では、家庭の配線を利用できるため専用の配線工事が不要だ。外出先ではトヨタの販売店に設置する約4200基の充電器や合同会社日本充電サービスの充電スポット、約14,600基で急速充電を含む充電可能だ。

 量産車では世界初採用となる「ソーラー充電システム」を搭載。自然エネルギーである太陽光発電で、駐車中は駆動用バッテリーに充電し、最大約6.1km/日(平均で約2.9km/日)の走行電力量を充電することが可能だという。走行中は補機バッテリーの消費を補い燃費向上に貢献するのは言うまでもない。

 外部給電機能は、今回追加した「EV給電モード」を選択して、エンジンをかけずに自宅に給電できる。さらにエンジンが作動する「HV給電モード」では、最大1500Wの出力で電力を供給可能だ。一般的な戸建て住宅なら、ガソリン満タン状態で、2日程度の給電が行なえる。

 安全装備として衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車に標準装備する。JNCAPの予防安全性能評価において最高ランクの「ASV++」及びJNCAP新・安全性能総合評価において最高ランクの「ファイブスター賞」を獲得している。

 インテリアも見物だ。トヨタ初の11.6インチの縦型大型ディスプレーを採用したT-Connect SDナビゲーションシステムとDCMの標準装備(Sタイプは除く)により、視認性・操作性を向上させた。

 クルマがネットワークに接続することで、安心・安全・便利なカーライフをサポートする多彩なコネクティッドサービス「T-Connect DCMパッケージ」を初度登録より3年間無料で提供。警告灯点灯時、クルマから発信される情報を基にオペレーターや販売店から適切な走行アドバイスを送る「eケア」や、クルマから離れた場所でも、充電状況の確認・操作、エアコンの操作、充電ステーションの検索などが可能な、PHV専用スマートフォン向けアプリ「Pocket PHV」を提供する。価格は、Sタイプの326.16万円からAプレミアムの422.28万円だ。(編集担当:吉田恒)

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