北朝鮮ミサイル発射、その時日米首脳は
2017年2月14日 11:36
12日の午前8時頃、北朝鮮は同国の領土内において弾道ミサイルを発射した。朝鮮中央通信は、これは新型の中距離弾道ミサイル「北極星2型」の試験発射であり、成功裏に終わった、と報じた。この時点で安倍首相はまだ訪米中であり、トランプ大統領と食事を共にしているところだった。(なお、首相は既に13日に羽田に帰着している)
この時両首脳がいたのは、フロリダ州のクラブである。他に一般客もいる、くつろいだ雰囲気の中で、その日二人で楽しんだゴルフの疲れを癒していたわけだが、急報を受け、くつろいでいる場合ではなくなった。
両首脳は、その場で緊急戦略会談を開始した。前述したように、他に一般客がいる前で、である。その客の一人が、一部始終をfacebookに投稿した為、事態は全米マスコミの知るところとなり、各社によって大きく報道されることとなった。
アメリカのマスコミは大統領(と首相)のこの行動について批判的な向きが強いようだが、戦略会談の前に一般客を追い出すなどの措置を取るべきであったか、それとも貴重な時間を犠牲にしてでも場所を改めるべきだったか、などの論点について、筆者はあえてノーコメントの立場を取らせていただく。
さて、問題は北朝鮮である。北朝鮮自身が声明などを出しているわけではないが、たとえばThe Japan News(読売新聞社の英語紙)などは、「北朝鮮による、トランプ大統領に対する明白な挑戦」と一面大見出しで報じている。それはその通りであろう。日本の首相が、アメリカにいる、そのタイミングでのミサイル発射というのは、狙ってやったものと考えるのが妥当だ。
大統領と首相は、その後フロリダ州の大統領の別荘に移動し、共同記者会見を開催。安倍首相は「(北朝鮮の行為は)断じて容認できない」、トランプ大統領は「米国は偉大な同盟者であり、日本を100%支持する」と言明した。はからずも、両首脳の戦略的パートナーシップの強さが北朝鮮のおかげでさらに強調される形となったわけである。
しかし、もっとも重要なのは、帰国後の安倍首相が述べた事実であるかもしれない。安倍首相によれば、「オバマ政権は(北朝鮮に対する)軍事力行使について極めて消極的であったが、トランプ政権はそれを見直す意図を持っている」という。
トランプ政権により強まる圧力のもと、極東アジア最大の安全保障上の懸案事項たる南北朝鮮問題は果たしてどうなるのか。慎重に見守っていきたい。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)