蔓延する鳥インフルエンザ、全国規模の発生に急がれる感染経路の究明
2017年2月9日 12:53
高病原性鳥インフルエンザの発生が続いている。北は北海道から南は宮崎県まで、昨年11月から全国で感染が相次いでおり、感染経路の究明が急がれている。1月30日に農林水産省で行なわれた疫学調査チームの検討会から、今冬の感染の傾向を読み取る。
今冬の家きん飼養場における鳥インフルエンザの発生は、2016年11月28日の青森県青森市を皮切りに、新潟県、北海道、宮崎県、熊本県、岐阜県、佐賀県と、全国に広がっていった。2月6日時点で7道県10戸の農場での発生が確認されており、農林水産省は、家きん飼養業者に対して発生予防策の強化と徹底を求めた。また、主な感染源と目されている野鳥の感染は、20道府県で209の事例が確認されており、こちらも全国に広がっている。未発生の都県でもいつ感染が発覚するかわからず、予断を許さない状況だ。
今冬に流行しているウイルスは、遺伝子解析の結果から、韓国で確認されたものと由来を同じくすると考えられている(H5N6亜型)。国内への侵入経路については、今後ウイルスのさらなる解析と、渡り鳥の飛来状況とを照合しながら調査が進められていく予定だ。また、鳥インフルエンザウイルスは、ネズミなどの野生動物、家きんに与える水や飼料、農場に出入りする人や車両(に付着したウイルス)からも感染すると考えられている。これらの感染源の遮断や衛生管理も、大きな課題となっている。
鳥インフルエンザが発生すると、家畜伝染病予防法に基づいて、発生した農場の飼育家きんの殺処分が行なわれる。その後、焼却または埋め立てを行って、感染防止のための移動制限区域が設けられる。発生場所から半径10キロメートル以内にある家きん飼養場からの出荷は、地域の清浄性が確認されるまで制限される。このように、ひとたび鳥インフルエンザが発生すると、感染した家きん飼養場だけでなく、周囲の農場まで大打撃を受ける。
また、鳥から人への感染は国内では未発生だが、海外では何例も確認されている。中国、パキスタン、タイ、インドネシアなどでは人から人への感染が疑われる事例も発生しており、今後はウイルスの突然変異による感染拡大や、パンデミックも懸念されている。
そのため野鳥の死骸を見つけても、不用意に近づいたり触れたりしないことが大事だ。野鳥が一ヶ所で大量に死亡している、などの不審な状況を見つけた場合は、最寄の保健所か、各都道府県の相談窓口に連絡することが推奨されている。(編集担当:久保田雄城)