SF×ファンタジーなアニメ映画『サンタを救え! ~クリスマス大作戦~』
2017年2月8日 08:38
記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ
『 サンタを救え! ~クリスマス大作戦~ 』とは、2013年にイギリスで制作された、子供から大人まで楽しめるファンタジーアニメ映画です。2014年には、日本でDVDの販売・レンタルが開始されています。
このアニメはサンタやエルフが登場するファンタジーものなのですが、実は結構SFでもあるんです。
■舞台はサンタの住む隠された街
そこはサンタの住む雪とお菓子の町。サンタは人々に愛され、街に住まうエルフ達はサンタをサポートしたり、トナカイの世話をしたり、サンタを慕ったりしています。街にはお菓子のタワーや家などもあり、いかにもファンタジーな世界です。
と思わせ、ガチのSF作品でもあります。
■落ちこぼれが主人公という王道展開
主人公バーナードは、落ちこぼれ扱いを受けている発明家です。サンタをサポートするマシンを作り、発表会に参加するもへまをやらかし追い出されてしまいます。
しかし、彼のあこがれであるサンタは、そんなバーナードの想いと努力を見ていました。サンタはバーナードに、どうしてサンタが一晩で世界中を回れるのか、その秘密を明かします。
■『サンタを救え! ~クリスマス大作戦~』が面白い3つの要素
1、ファンタジーっぽい世界なのにSF
サンタの街はシールドによって世界から隠されています。管理室が存在しているため、これは魔法の力ではなく超科学の分野のようです。
また、サンタのソリにはタイムトラベルをする機能があり、それによって一晩で世界中を回ることができるのです。これももちろん科学の力です。過去に戻った際、そこにいるもう一人の自分と会ってはならない――というタイムトラベルものお約束の決まりだってあります。
2、落ちこぼれが成長する王道ストーリー
物語の敵は、運送会社の社長をしている男。彼は、サンタのソリの秘密を握れば世界一の運送会社になれると考え、街に攻めてきます。
サンタ以外で唯一ソリの秘密を知っているバーナードは、捕まったサンタを救うべくソリで過去へ移動します。
落ちこぼれ扱いされていた主人公が、数々の困難を乗り越え成長していくストーリーです。
3.複数の主人公が交錯する
過去に戻ったら、もう一人の自分と会ってはならない。
なので、運送会社が攻めてくるよりも前の時間軸に戻り、もうひとりの自分を避けながら行動をするバーナード。しかし、いくら彼が事情を説明しても、街が攻められるなんて、と信じてくれない人々。バーナードを頭のおかしい奴だと思った者たちが、彼を逮捕してしまいます。
しかし、そこで停電。それは、冒頭にバーナードが発表会でヘマをして起こした停電です。
その停電のせいで、シールドが消え運送会社に街が見つかってしまったと判明。そこで、今度は自分が発表会へ参加するのを止めるべく二度目のタイムトラベルを開始。
バーナード①:なにも知らず発表会に行く。停電を起こし、街の存在を隠しているシールドを消してしまう。
バーナード②:運送会社が攻めてくるという未来を伝えてまわり、逮捕される。
バーナード③:直接会うことなく①を止めようとする。
という風に、複数の自分が同じ時間軸上で交錯するのが面白いです。
ここでさらに面白いのは、それぞれの行動が別の自分に影響を与えるという点です。
①のバーナードの身に降りかかる出来事が、実は後々②③のバーナードがした行いのせいだったり、②のバーナードがやらかしたヘマが③のバーナードを襲ったり……。あらゆる行動が伏線となり、後に響いていくという構成です。
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿とさせる
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とは、SF映画の名作です。
複数の主人公が同じ世界に存在し、それぞれが出会わないようにしつつも影響しあう。後になればなるほど、序盤の出来事が実は伏線だったと判明していく。態度のおかしい人物は、後に未来からやってくる主人公と接していたせいだったりとか。
そういう、実は複雑に絡み合った事情が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を連想させます。
つまり、『サンタを救え! ~クリスマス大作戦~』とは過去に戻って歴史を修正する物語なのか? いいえ、違います。
起きた過去は変えられないんです。何度タイムトラベルをしても、結局起きた出来事は変わらないのです。
それを悟ったバーナードは、ならば未来を変えようと考えます。さて、バーナードは無事にサンタを救出出来るのか? そして、運送会社の社長は本当に悪いヤツなのか?
これは、クリスマスに起きた奇跡の物語です。
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(あにぶ編集部/星崎梓)