刑法犯が戦後最少を記録、窃盗や凶悪犯が減る一方詐欺は増加
2017年2月5日 18:19
昨年1年間に警察が認知した刑法犯罪件数は99万6204件で、戦後初めて100万件を下回ることが19日の警察庁による発表でわかった。殺人は896件で前年比4%減、放火や強姦も戦後初めて1000件を下回り、凶悪犯全体では8.7%減少している。
刑法犯のうち7割を占める窃盗も前年比10.4%減少しており、刑法犯全体的に件数が減少し、治安は良くなってきたと言える。警察庁では自動車や自動販売機のセキュリティー向上、防犯ボランティアの普及、監視カメラの設置などが刑法犯の減少に寄与したのではないかと分析している。
刑法認知件数は1948年より統計を取り始め、150万件を推移。70年代後半から増加傾向にあり、90年代から2000年代初頭には年間約200万件にまで増加。ピークは02年で285万3739件だった。それ以降減少し、昨年初めて100万件を切ったのだ。
凶悪犯や窃盗が減っている一方、詐欺は4万999件、前年比4.0%増だった。特に家族などになりすましてお金を振り込ませる「オレオレ詐欺」や、税務職員や警察官を装って還付金があると嘘をついて現金を振り込ませる「還付金詐欺」といった特殊詐欺の増加が目立っている。こうしてみるとリスクが高い窃盗や強盗といった直接お金を取る犯罪から、リスクが低い人を騙してお金を取る知能犯に移行している傾向も考えられる。
警察でも振り込め詐欺予防に関する呼びかけを行なっている他、銀行などの金融機関のでも振込額の上限を定めたり、窓口での声掛けなどの対策を実施したりしているが、依然として被害は後を絶たない。詐欺被害を減らすためには警察や金融機関の努力だけでなく、我々がいかに被害に遭わないかを意識することが大切だ。
これからもこうした知能犯の手口はますます巧妙化していくであろうし、インターネットの普及で新しい犯罪の手口も増えることが予想される。まずは新しい手口を知って、不審な電話や訪問者は疑ってかかる必要がある。(編集担当:久保田雄城)