三菱電機の16年4~12月期、上半期の失地をどこまで挽回できるか
2017年2月3日 09:50
■円高による海外売上の目減りと、重電の大口案件減少で業績ふるわず
2月2日、三菱電機<6503>が米国会計基準の2016年4~12月期(第3四半期)決算を発表した。
売上高(2兆9471億円)は前年同期比で4.7%減、営業利益(1755億円)は15.3%減、税引前四半期純利益(1961億円)は10.3%減、四半期純利益(1353億円)は11.4%減の減収減益。四半期純利益の2017年3月期の通期見通しに対する進捗率は71.2%。
上半期に進んだ円高によって円ベースの海外売上が目減りし、前年同期と比べると営業利益が約520億円、為替によって押し下げられている。重電システム部門で電力向けなどの大口案件が減少したことも減収減益の要因に挙げられる。
セグメント別では、4~12月期累計は前年同期比で重電システム部門が売上高3%減、営業利益46億円減、産業メカトロニクス部門が売上高4%減、営業利益246億円減、情報通信システム部門が売上高22%減、営業利益横ばい、電子デバイス部門が売上高18%減、営業利益138億円減、家庭電器部門が売上高2%増、営業利益94億円増、その他の部門が売上高1%増、営業利益16億円増となっていた。
もっとも、第3四半期(10~12月期)だけを取り出せば前年同期比で、中国のスマホ関連のFA投資が回復し自動車機器も堅調だった産業メカトロニクス部門は2%、パワー半導体の需要回復が大きい電子デバイス部門は15%、空調機器が国内外で好調だった家庭電器部門は3%、その他の部門は2%、それぞれ売上増になっており、電子デバイス部門は営業利益も増益に変わっていた。そうした部門や製品が第4四半期でさらに健闘すれば、通期業績の想定上振れ着地につながる。
■通期見通しは円安で上方修正しても、これまでに受けた傷が深く減収減益
2017年3月期の通期業績見通しは、売上、利益4項目の全てで上方修正を行っている。売上高は500億円上方修正し4兆2000億円で前期比4.4%減、営業利益は50億円上方修正し2550億円で15.3%減、税引前四半期純利益は100億円上方修正し2750億円で13.7%減、当期純利益は50億円上方修正し1900億円で16.8%減。業績見通しを上方修正しても昨年秋頃までの為替の円高で受けた傷は深く、減収減益になる予想。期末配当、年間配当の見込みは未定としている。
業績上方修正の第一の理由は、為替レートが当初の見通しよりも円安に振れ、円換算の海外売上高が増えること。第4 四半期(1~3月期)の想定為替レートは、ドル円は前回、4~9月期決算発表時の下期の想定から10円円安の110円、ユーロ円は前回の想定から5円円安の115円に、それぞれ変更した。
セグメント別では、情報通信システム部門の落ち込みからの立ち直りはまだ先が見えないが、第3四半期では比較的好調だったFAシステム、自動車機器などの産業メカトロニクス部門と電子デバイス部門では収益の改善が見込まれている。(編集担当:寺尾淳)