インターバル規制には自主的導入促進の消極姿勢、厚労省検討会

2017年2月2日 09:09

 厚労省「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」は論点整理の中で、1日単位の休息期間を確保する「インターバル規制」について「睡眠時間の確保、疲労蓄積を防ぐ観点から重要な考え方だ」としながらも「企業活動や業務の繁閑と両立させるノウハウ・好事例の提供などの支援を通じて、企業自らがこれを導入することを促していくべき」とし、企業の自主性に依拠。強制的に法で担保する規制に消極的姿勢をうかがわせた。

 また長時間労働をなくすための取り組みでは「過当競争の中で、顧客の要望に対し、際限なくサービスを提供してきた結果、翌日配送や24時間対応が消費者にとって当たり前になってしまい、長時間労働を招いている実態もある」と指摘。「過度のサービス要求を控えることが長時間労働の是正につながり、働く人の健康と幸せにつながることを喚起し、国民全体の意識改革を促すことも重要」とした。

 また「長時間労働を前提とする企業文化を変え、企業の業務プロセスの見直しや意識改革を進めることが必要」とし「経営者が時間当たり生産性を意識して改革に取り組むことは結果的に生産性の向上にも資すると考える」としたうえで「現行法の遵守の徹底を求めるとともに、同業他社等との競争が厳しい中、各企業の自主的な取組に任せるだけでは限界があることから36協定における時間外労働規制の在り方について、法改正を検討する必要がある」とした。

 時間外労働の規制の在り方としては「1日や1週などの短い期間を単位に労働時間の上限を規制すると、業務の繁閑や働く人のニーズに対応した労働時間の設定が困難になることに留意が必要であり、労働時間の総量規制に当たり、柔軟性を持たせることが必要である。他方で、短期間に過度に時間外労働が集中して健康を損なうことがないようにするための配慮も必要」とした。

 下請けなど、中小企業での長時間労働については「重層下請構造の下での急な仕様の変更や短納期発注等が背景にある」とし「発注元や親事業者を含めた業界全体としての取引環境の改善が必要で、政府は業界全体の問題を協議する場の設定に努め、業界としてのコンセンサス形成を図るべき」とした。(編集担当:森高龍二)

関連記事

最新記事