昭和の流行生地・銘仙を「まとふ」が 「STYLE*MEISEN」松屋銀座で
2017年1月27日 21:23
銘仙独特の技術を生かした織物とまとふ(matohu)の感性を組み合わせ、現代における銘仙の可能性を追求した展覧会「STYLE*MEISEN(スタイル*メイセン)」が2月21日まで、松屋銀座7階デザインギャラリー1953で開催されている。
糸目が1,000本あるような繊細な織物であることが語源となったと言われる銘仙。日本デザインコミッティー主催、経済産業省関東経済産業局共催による今回のイベントは、大正から昭和に爆発的な人気を博し、全盛期には年間1,500万反生産されていた銘仙をテーマにしたもの。まとふのデザイナー堀畑裕之が花や植物を得意とする秩父銘仙、関口真希子が幾何学柄を得意とする足利銘仙の企業と取り組み、制作。足利銘仙のガチャマンラボの素材を使い生地の耳をそのまま使うなど足利銘仙を最大限に生かしたドレスや、秩父銘仙の逸見織物の着物生地(38センチ)を生かしながらカットソーと組み合わせることで価格をリーズナブルに抑えたカーディガンをはじめ、横糸に太い綿を打ち春夏秋冬の草花を描いたデザインや、ポリエステルを横に打つことによって銘仙でありながらプリーツがとれないようにし、後ろ身頃もナイロンにしたデザインなど、銘仙を現代の服に使ったストーリー性のあるウエアや関連商品を展示している。
また、通常の展覧会は服を触ることができないが、今回は服や素材に直接触ることができるほか、試着する代わりに会場に鏡を設置し服を当てることで自分に合うかどうかを確かめることができるなど、新しい試みを取り入れている。さらに、会場の裏には2週間限定でポップアップショップもオープンしており、受注することもできる。
市場での再評価に期待
「まとふ」の堀畑裕之と関口真希子
初日の25日夕方には、まとふの堀畑裕之と関口真希子、秩父銘仙の逸見織物の逸見恭子、足利銘仙のガチャマンラボの高橋仁里によるデザインサロントークとレセプションも開催された。
プロジェクトのプロデューサーである岡田茂樹は、「一昨年、経済産業省関東経済産業局から絹の道のコーディネートを依頼されたとき、現在は200から300着しか売れない銘仙を新しい切り口で考え、残っている秩父と足利が広域連携することで、市場で再評価してもらえればおもしろいと提案したことがプロジェクトのきっかけ。一年間かけてやっとここまで来たが、まだ満足していない。銘仙の技術とまとふの感性をあわせることでマーケットに評価される商品を作りたい」とあいさつ。レセプションに出席したテキスタイルデザイナーの須藤礼子は、「テキスタイルの展覧会のレセプションにこれだけの人が集まったのは初めて。次のステップが楽しみ」。クールジャパン機構の太田伸行社長は、「職人の技とデザイナーの美意識を混ぜることで世界に持って行ける商品、かっこいいから高いと説明できるような商品を作ってほしい」とエールを送った。
ガチャマンラボの高橋仁里(左)
国内外のブランドと協業 「まとふ」流海外発信のカタチ
堀畑は、「スタイル*メイセンは3年間の事業なので売り場を広げていきたいし、いろいろな取り組みを考えている。また、まとふブランドにも、工芸など様々な日本の伝統産業との取り組みの話が来ている。コレクションとは別の『まとふプロジェクト』として、国内や海外との取り組みやコラボレーションも考えており、ゆくゆくは世界各国で現地のデザイナーと連携した取り組みなど、パリコレクションに参加してコレクションを発表するような方法とは違う新しいやり方もしていきたい」と話している。
■「STYLE*MEISEN」公式サイト http://www.style-meisen.com
(取材・文/樋口真一)