納豆で脳卒中、虚血性心血管疾患の死亡リスクが低下 岐大が研究
2017年1月26日 09:20
岐阜大学の研究グループが、納豆の摂取が脳卒中や心血管疾患による死亡率に影響するとの研究結果を発表した。同研究は、岐阜県高山市など全国8か所で行われた大規模コホート研究「高山スタディ」の一環。35歳以上の男性1万3355人、女性1万5724人を対象として、1992年の調査登録時に納豆含む大豆製品摂取量の調査を実施。納豆の摂取量をもとに4グループに分け、約16年の追跡期間中での脳卒中・心血管疾患での死亡者数から納豆摂取の影響を調査した。
期間中に死亡したのは計1678人。そのうち、脳梗塞含む脳卒中が原因だったのは677人、虚血性心血管疾患含む心血管疾患では308人となった。納豆摂取量との関係をみると、脳卒中に関しては、大豆たんぱく質の摂取量が最も多かったグループでは25%、納豆の摂取量が最も多かったグループは32%それぞれ死亡リスクが低かった。心血管疾患に関しても、最も納豆の摂取量が最も多かったグループは最も少なかったグループに比べて死亡リスクが25%低かった(ただし、摂取量が増えるほど心血管疾患での死亡リスクが低下するといった関係はみられなかった)。さらに、納豆の摂取量が最も多かったグループは虚血性脳卒中における死亡リスクも33%低かったとのこと。
高山スタディの大豆製品に関する研究では、「大豆製品を多くとる女性で閉経年齢が早い。」「大豆製品摂取量の多い者ほどコレステロールが低い。」「大豆イソフラボンの摂取量が多いとその後の閉経後乳がんの発症リスクが低くなる。」「大豆製品摂取の多いと胃がん死亡リスクが低くなる。」「大豆製品、緑黄色野菜、海藻の摂取量と合理性/非情緒性性格とが関係している。」といったものがあり、大豆製品が体に及ぼす影響について参考になる。
ただし、コホート研究はあくまで集団の傾向を表したものであり、具体的にどの成分がどのような影響を与えているかの判別が難しい。このため拡大解釈や応用での効果は期待できないこともある。たとえば上記の納豆摂取と循環器疾患の研究では、納豆以外の大豆製品からの大豆たんぱく質や大豆イソフラボンの摂取と脳卒中・心血管疾患含む全循環器疾患での死亡リスクとの関係は確認されておらず、この事実を知らないまま納豆の替わりにほかの大豆製品で脳卒中・心血管疾患の予防を図るのは不適切だといえる。すべての状況に研究結果があてはまるとは限らないことも考慮したうえで、参考にできる部分は参考にするのがよいだろう。(編集担当:久保田雄城)