太古に出現した細菌が植物光合成の仕組みを完成、神戸大らが発見

2017年1月24日 12:01

 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業において、神戸大学の蘆田弘樹准教授と河野卓成学術研究員、立命館大学の松村浩由 教授らは、光合成でCO2から糖を合成する生物機能の進化的な原型を、光合成を行わない原始的な微生物に発見した。

 光合成は、太陽光、水、CO2から糖などの炭水化物や酸素を作り出す、地球上の生物が生きていく上で欠かすことのできない生物の営みである。しかし、生物が進化の過程で、光合成の能力をどのようにして獲得したのか、またその進化的な起源については不明だった。

 研究グループは、光合成が誕生するよりも前に出現したと考えられているメタン生成菌が、光合成で働く遺伝子とよく似た遺伝子を持っていることを発見した。これらの遺伝子から合成した酵素の解析や生体内の代謝物質を調べ、取り込まれたCO2の行方を明らかにするためのメタボローム解析を行うことで、糖などの炭水化物を合成する光合成の代謝経路とよく似た原始経路をメタン生成菌が利用していることを明らかにした。

 この研究により光合成の原始的な代謝経路の一部が明らかになったことから、今後、生物進化の過程でどのように光合成システムが完成されていったのかという、これまで科学が立ち入ることができなかった進化の謎が明らかになっていくと期待されるという。また、さらに光合成の進化が明らかになることで、光合成機能を高度に改良・利用することができ、食糧やバイオ燃料の増産にもつながると期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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