米連邦取引委員会に続き、AppleもQualcommを訴える
2017年1月22日 22:07
ベースバンドプロセッサーの供給と標準必須特許(SEP)のライセンス供与条件を組み合わせ、Qualcommが反競争行為をしていたとされる問題で、米連邦取引委員会(FTC)に続いてAppleもQualcommを提訴した。Qualcommは公正・合理的・非差別的(FRAND)な条件でSEPをライセンスすると明言しているにもかかわらず、FRANDとはかけ離れた条件を取引先やライバルのチップメーカーに強制していたとされる(訴状: PDF、The Registerの記事、CNBCの記事、Ars Technicaの記事)。 Appleがメディアに出した声明によれば、Qualcommはセルラー通信の標準規格に貢献した十数社の1社に過ぎないが、他社の特許料をすべて合わせた額の5倍以上の金額を要求していたという。そのため、特許料の値引きを求めるAppleは業務協力および特許に関する合意(BCPA)をQualcommと交わし、他社のチップを使わないなどの条件で、製造委託先がQualcommに支払った特許料の一部をリベートとして受け取っていた。しかし、反競争行為の疑いでQualcommを調査していた韓国公正取引委員会(KFTC)の求めに応じてAppleが証言したところ、BCPAを破ったとしてQualcommはリベートの支払いを拒否する。その結果、支払われなかったリベートは10億ドル近いとのこと。 また、現在AppleはQualcommとIntelのベースバンドチップを使用しているが、Qualcommは同社の保有する特許が3G/UMTSまたは4G/LTE技術に必須のものだと主張。特許侵害による訴訟をちらつかせることもあったようだ。実際にQualcommは、これらの特許を侵害したとして中国・Meizuを訴えている。これについてAppleは、これらの特許が3G/UMTSおよび4G/LTE技術に必須のものではないとし、AppleもQualcommの特許を侵害していないと主張している。 Appleは訴状で、同社がQualcommのSEPを侵害していない、もしくは侵害しているとしてもFRANDに基づく適切な金額でのライセンス供与が行われなかった、BCPAに違反したのはQualcommであり、Appleではないといった点などについての確認や、Qualcommが不当に徴収した特許使用料の返還などを求めている。 これに対しQualcommでは、Appleが合意の内容を故意に曲げて伝えていると批判。AppleはQualcommのビジネスをさまざまな方法で攻撃するよう、規制当局に働きかけてきたとも述べているとのことだ。