生活保護受給者の実収入、15年度平均は単身世帯でひと月12万2,292円
2017年1月18日 19:12
厚生労働省は18日、2015年度の社会保障生計調査を発表した。それによると、2015年度の生活保護受給者の実収入(生活保護費含む)の平均は、単身世帯でひと月あたり12万2,292円、2人以上世帯(平均2.36人)で19万1,625円であった。また11日に発表された最新の「生活保護の被保護者調査」によると、生活保護の被保護者数は、2016年10月時点で全国に214万4,759人(163万7,866世帯)おり、その約半数が高齢者(65歳以上)である。生活保護の受給者数は年々増えているが、その背景には、深刻化する高齢者の貧困問題がある。
社会保障生計調査は、被保護者世帯の生活実態を明らかにし、生活保護制度及び厚生労働行政の運営に必要な資料を得るために毎年度ごとに実施されている。全国を地域別に10ブロックに分け、各ブロック毎に都道府県・指定都市・中核市のうち1~3カ所を調査対象自治体として選び、そこから被保護者世帯1,110世帯を抽出して調査を行う。
調査結果によると、生活保護を受給している単身世帯の実収入の平均12万2,292円の内訳は、就労収入(勤め先収入+内職収入)が1万8,759円、生活保護給付金が8万2,987円、他の社会保障給付金(社会保障給付金+その他社会保障)が1万7,493円、その他が3,044円であった。生活保護を受給する2人以上世帯の実収入の平均19万1,625円の内訳は、就労収入が3万9,808円、生活保護給付金が10万6,139円、他の社会保障給付金が4万938円、その他が4,740円であった。
生活保護の受給者数は年々増えているが、特に増加が著しいのが高齢者世帯だ。2016年3月に初めて受給世帯の過半数を占めるようになり、昨年10月時点では83万6,387世帯、約51.3%が高齢者世帯となっている。そのうち単身世帯は約9割、75万8,377世帯にも上る。
高齢者世帯において生活保護の受給者が多い理由の一つに、国民年金の支給額の低さがある。2016年度における国民年金の支給額は、満額で月額6万5,008円。2世帯同居、3世帯同居で生活しているならともかく、一人暮らしの高齢者の場合、国民年金だけでは生活保護基準額以下の世帯収入にならざるを得ない。年金収入を含む世帯収入が生活保護基準額に満たなければ、生活保護受給の対象となる。健康状態が良ければ就労するという選択肢もあるが、60代ならともかく、70代、80代ともなると雇用機会は乏しく、仮に就労しても十分な収入を得られないというのが現状だ。
非正規雇用で働いてきた人の高齢化が進むと、低年金や無年金で老後を迎え、身寄りもなく生活保護に頼るという高齢者はますます増えることが予想される。(記事:荒川・記事一覧を見る)