進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む【ビジネスの格言】
2017年1月12日 11:40
ビジネスに役立つ格言集、今日は、福沢諭吉(1835年1月10日~1901年2月3日)『学問のすすめ』からの言葉です。
現在の大分県中津市にあった中津藩の下級藩士の次男として生まれた福沢諭吉は、若いころに蘭学を学んだ後、幕末に日米修好通商条約批准交渉の使節団と共に渡米。その後、文久遣欧使節として、当時イギリスの植民地であった香港やシンガポールを経由してフランス、イギリス、オランダ、ポルトガルなど欧州各国を訪れるなど、鎖国政策をやめた当時の日本にあって、いち早く欧米文化に直接接した人物の一人でした。
明治維新後に再び渡米したのち、現在の慶應義塾を設立。晩年まで自らも毎日勉学を続けるなど、教育に多大な力を注いだ人として知られており、現在では、一万円札の肖像画としても有名な人物です。
学問のすすめは、そんな福沢諭吉の代表作の一つです。1872年に初版が出版され、1876年まで数年かけて17編まで出されました。明治維新をむかえた日本に、欧米の民主主義を伝えた学問のすすめは、数百万部が売れたと言われ、近代日本の啓蒙書としては最も有名な本の一つです。『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』の言葉が出てくる書でもあります。
今日の格言はその『学問のすすめ』5編に出てくる「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む」です。
『大凡世間の事物、進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。進まず退かずして潴滞する者はあるべからざるの理なり。』の文脈で出てくる言葉は、世の中では潴滞(ちょたい)=停滞している者はなく、前に進むか後ろに退くかのどちらか、という意味になります。
ビジネスの世界では、売上げをはじめ様々な数値が出てきますが、いずれも「前年比」「前月比」など、以前の値との対比となっています。ほとんどの場合、この数値は僅かであっても+か-かのどちらかで、「変わりなし」ということは滅多にありません。
進むか退くかしかないという視点で見れば、その場にとどまっていることは結局は進んでいないこと、後退していることと同じではないでしょうか。逆に、退かずに前に進もうとするものは、前に進んでいくのです。どんな状況であっても、常に「前に進んで行動していくこと」が必要、という気持ちを起こさせてくれる言葉です。