2016年の国内新車販売、11年以来5年ぶりに500万台割れ

2017年1月10日 12:03

 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の発表によると2016年、日本国内で売れた新車の台数は497万0260台だった。東日本大震災やタイの洪水などがあった影響で、2011年に500万台を割り込んだことはあったが、以後は回復していた。が、5年ぶりに500万台を下回ったというわけだ。

 この数字、前年比では98.5%であり、2年連続で前年実績を割っている。2016年11月まで23カ月連続で前年割れを続けた軽自動車の低迷が大きく影響した恰好だ。

 軽自動車の販売台数は、前年比91.0%。販売台数172万5462台だった。2014年4月には消費増税、2015年4月には軽自動車税が引き上げられ、それぞれ直前の駆け込み需要を受けた恰好の反動減が響いた。結果として2年連続で前年を割り込んだ。

 軽自動車については、昨年4月三菱自動車の燃費偽装が発覚したことも大きな影響があった。三菱自販売店はもちろん、同社が軽自動車をOEM供給する日産販売店も2カ月以上、軽自動車を販売できない状況となった。

 軽自動車販売は他社も低調だった。トヨタ系販売店除く全メーカー系列で販売台数が前年を割り込んだ。国内新車販売に占める軽自動車の比率は、2014年に4割を超えた。が、これも2016年、34.7%まで下がった。

 一方、軽自動車以外の登録車は、前年比103.0%と高い伸びを示した。総数324万4798台である。2015年末にフルモデルチェンジしたトヨタを代表するハイブリッド車(HV)「プリウス」を筆頭に、日産の売れ筋ナンバーワン・ミニバン「セレナ」、ホンダのHVミニミニバン「フリード」など、各社が売れ筋車種を相次いでフルモデルチェンジ。新型車を投入したことが効いた。軽自動車販売でダイハツとトップを争うスズキも、登録小型車の新型「イグニス」「ソリオ」などが売れ、登録車販売で前年比133.2%の大幅増を記録した。

 日本自動車工業会の発表によると2016年度(2016年4月~17年3月)でも500万台割れを予想する。ただ、2016年12月だけを見ると、軽自動車販売が2年ぶり(24カ月ぶり)に前年を超えた。登録車販売も新型車投入効果で前年比110.8%となり、国内ではやや明るい材料も出てきた。

 ただし、業界全体を俯瞰すると、日本と対照的に好調だったアメリカ市場の先行きが心配だ。ガソリン安などを背景に米国新車販売は2年連続で過去最高を更新した。しかし、トランプ氏のけん制に屈した恰好のフォード・モーターのメキシコ工場建設断念、同じくメキシコに進出するトヨタに対する横槍など、米国市場の先行きは、米トランプ次期政権の保護主義的な経済政策に振り回される懸念もある。(編集担当:吉田恒)

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