平成、30年で終了か 天皇陛下御譲位へ

2017年1月10日 12:35

 平成が丸30年で終わりをむかえそうだ。政府は、平成31年1月1日に譲位の儀式を行い、今の皇太子さまに天皇としてご即位いただくと共に、同日より新元号を発布する方針で検討に入ったと、産経新聞や毎日新聞など国内メディアが報じた。

 天皇陛下が、テレビ放映された映像を通じて国民に譲位のご意向をお示しになったのは、昨年7月のことである。陛下は、自身が高齢であり天皇の任は既に耐えがたいこと、摂政を置いても本質的な解決とはならず譲位が望ましいこと、また、譲位を恒久的な制度とする必要があること、などを切に訴えられた。

 この一件はまさに大きな発言であった。政府はこれを受けて諮問会議などを次々に開き、国民の間でも多くの議論が行われるようになった。「生前退位」なる奇怪な用語が登場したり(死んでから退位する君主はいない。退位は生前にやるに決まっている)、有識者会議が「生前退位は認めない」という見解を発表して一部の反発を招いたり、この半年ほどの間に様々な紆余曲折があった。

 ちなみに世界的傾向はどうかというと、もちろん一律に論じることはできないのだが、「生前に、王が位を譲る」ということは広く行われるようになっている、といえる。一例だけ具体例をあげると、オランダのベアトリクス前女王は、2013年、75歳で嫡子に位を譲っている。理由は「高齢のため」であった。英国のエリザベス2世女王は90歳、在位64年にしてなお現役であるが、むしろこの方の方が例外的存在なのである。

 さらに日本の歴史上はどうなっているかというと、生前に位を降りて「上皇」となった天皇は、なんと60人もいるらしい。最後の一人は光格天皇といい、在位1780~1817年。丸200年ぶりとはいえ、61人目だと考えれば、珍事とみなすにはあたるまい。

 さて、1月1日をもって譲位・改元を行うのは、それが国内の混乱を最小限に抑える上で最良であるとの判断からである。これはその通りであろう。ただし、譲位に関しては「今回一代限り」とする方向で、国内法などの調整を行うという。

 何にせよ、今上陛下におかれては、願わくばご存念通り心身の休まるご余生をお送りいただきたいものである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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