ジャイロイド構造のグラフェン、鉄の4.6%の密度で強度は10倍
2017年1月8日 21:41
あるAnonymous Coward 曰く、 MITの研究チームがグラフェンを用い、軟鋼の4.6%の密度で10倍の強度を持つ多孔質の立体素材を作成したそうだ(論文、MIT Newsの記事)。 この素材は熱と圧力を加えてグラフェン片同士を結合し、多孔質のジャイロイド構造にしたものだ。現在知られている中で最も軽く、強い素材の一つだという。強度は3Dプリンターで作成したプラスチック製のモデルによるシミュレーションで測定しており、密度や壁(グラフェン片の部分)の厚みを変えたテストも行っている。その結果、密度を下げたときの強度低下は、ポリマーのフォーム素材よりも大きかったという。一方、薄い壁の素材は柔軟性があり、圧力をかけると徐々に変形するのに対し、厚い壁の素材は一気に壊れてしまう。 最近の研究ではグラフェンを使用した多孔質構造で空気よりも軽い素材を作成できると考えられており、飛行船などのヘリウムとの置き換え用途が期待されている。しかし、空気よりも軽くなるまで密度を下げると強度が不足し、真空のバルーン内に入れた場合は大気圧で潰れてしまう。そのため、こういった用途で実用化するには低圧のガスで満たすか、支持素材を追加する必要があるとのこと。 グラフェンを使用した立体素材はヘリウムの置き換え以外にも、さまざまな用途での利用が期待される。また、この構造はグラフェン以外にも応用可能だとみられている。 なお、空気より軽い強固な素材という事でSF作品の「ふわふわの泉」をイメージする人も多いらしく、作者の野尻抱介氏も「また一歩ふわふわの泉に近づいた」とツイートしている。