腸間膜が新たな器官として区分される
2017年1月6日 19:51
headless曰く、 腸と腹腔をつなぐ腸間膜は長らく断片的な腹腔の構成物と考えられてきたが、アイルランド・リムリック大学のJ Calvin Coffey教授の研究により、1つの連続した器官として区分できることがわかったそうだ(論文、リムリック大学のブログ、Live Science、The Independent)。
腸間膜と小腸・大腸を関連付けて描いた最古の資料の1つであるレオナルド・ダ・ビンチの解剖図では、腸間膜が1つの連続した構造となっており、その後4世紀にわたって同様に描かれてきた。しかし、19世紀後半に上行結腸と下行結腸が通常は腸間膜を持たないという研究結果が発表され、20世紀には腸間膜が断片的なものと広く考えられるようになったという。
腸間膜の連続性は、大腸の全切除手術を受ける患者のコホート研究で初めて示された。この手術では結腸間膜を腹腔後壁からすべて剥離することになる。Coffey氏によれば、腸間膜は遠位大腸から十二指腸空腸曲に至る連続した後腹膜外の1つの器官と考えられるとのこと。
解剖学書の古典である「Gray's Anatomy」では、この研究結果を受けて改訂されており、既に昨年から医学生は腸間膜を連続した1つの器官として学んでいるという。研究成果は昨年11月のThe Lancet Gastroenterology & Hepatologyに掲載されているが、1月3日にLive ScienceやThe Independentが紹介したのをはじめとして、数多くのメディアが取り上げているようだ。
この分野の研究はまだ始まったばかりだが、腸間膜の機能などに関する研究が進めば侵襲性の低い手術が可能となり、患者の回復を速めることや、費用の低減化が可能になるとのことだ。