今年の市場で注意すべきリスク

2017年1月4日 08:03


*08:03JST 今年の市場で注意すべきリスク
日本の株式市場は本日から名実ともに新年度相場となる。昨年はチャイナショックやブレグジット(英国のEU離脱)ショックなどの大きなショックが金融市場を襲った。本年も同じようなショックやリスクはありうるのだろうか。まず、最も注意が必要なのは言うまでもなく、世界最大の経済大国である米国の行方である。トランプ次期大統領の政策への期待からすでに株価やドルが先行して上昇している。トランプ次期大統領に期待されているのは規制緩和や大規模減税、公共投資などだがこれが期待通りに実行されないと失望は大きいだろう。さらに長所が消えると保護主義的な政策のマイナス面が大きくクローズアップされる可能性もある。トランプ次期大統領が為替について、現在のドル高傾向を容認するのかについても要注意だ。
 米国に次いで注目されるのは欧州の政治情勢だ。ブレグジット自体はさほど世界経済へ大きな影響はないとみる。英国が実行したいのは移民を制限する政策で、経済や通商交渉については従来あまり変わらない状態を望んでおり、それはEUとの交渉や二国間交渉である程度実現されうるからだ。問題はブレグジットのようなポピュリズムや分断的な動きがEU加盟国の他国にも広がるかどうかである。とりわけ注目されるのはフランスの大統領選挙で極右政党のルペン党首が当選するかどうかだ。ルペン氏が当選すれば一定の混乱は避けられないとみられる。
 もう一カ国、外せないのは中国である。中国のとりわけ不動産市場はバブル崩壊の危険を常にはらんでおり大きなリスクである。ただ、中国当局は不動産市場が崩壊しそうになると規制を緩和し、加熱しすぎると規制で抑えるということを繰り返しているほか、中国経済の各種指標が持ち直し傾向を示していることから意外なほどの小康状態を保っている。今後打ち出される中国当局の経済対策が注目される。トランプ次期米大統領との関係で両国の通商関係や人民元がどのような影響を受けるかにも注意が必要だ。
 日本の金融市場は国内要因よりも、海外要因に大きく振り回される傾向がある。2017年も上記の3大リスクによって大きな影響を受ける可能性がある。ただ、2016年のチャイナショックやブレグジットショック、トランプショック時の日本市場における株価等の大暴落は世界でも突出したオーバーシュートであり、投資の絶好の機会であった。時間帯的に世界で最初に開く主要市場という点も大きい。
 2017年も例えばフランスでルペン氏が大統領選挙で勝ったとしても、ブレグジットショックと時と同じく、それだけで直ちにEUが崩壊したり世界経済が崩壊するわけではない。市場が過剰反応してオーバーシュートした時は同じように絶好の投資機会が訪れるかもしれない。
 リスクが顕在化したとしても、リスクの本質を冷静に見極めることが本年も重要となるだろう。《YU》

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