FB、1年以上前の事件で安否確認有効にし、嘘ニュース拡散する結果に
2017年1月2日 16:47
Facebookが12月27日、1年以上前にバンコクで発生した爆弾テロ事件に対して安否確認機能を有効にし、嘘ニュースを拡散する結果となった(Bangkok Postの記事、The Guardianの記事、The Vergeの記事、BetaNewsの記事)。 Facebookの安否確認機能は昨年11月からコミュニティーベースで有効化されるようになっている。仕組みとしては、Facebookがサードパーティーから事件発生の通知を受けると自動的にニュースアラートとして表示され、対象地域で多くのユーザーからの投稿があった場合に有効化されるとのこと。 情報の発信源はBangkok Informerというニュース記事の無断転載サイトとみられている。問題の記事はBBC NewsのYouTube動画からの転載で、12月27日に掲載されているが、内容は2015年8月に発生したエラワン廟での爆弾テロ事件を報じたものだ。記事についたコメントもYouTubeユーザーのコメントを転載しただけのようで、すべて2015年8月の日付になっている。Bangkok InformerのWebサイトはメンテナンス中となっているが、今回の記事だけでなく、同事件の記事を異なるソースからたびたび転載していたらしい。 本件について、Facebookは現地の英語メディア4社が報じていることを確認したと述べているという。しかし、報道の内容は土地をめぐるトラブルにあった男性が27日午前、政府により正義が行われることを求め、政府貯蓄銀行の屋上から大きな爆竹を政府の建物に向かって投げたというものだ。その1社であるBangkok Postによれば、この件を「爆発」と報じた記事は4社のうち1件もないとのこと。 Bangkok Postの記事などにスクリーンショットが掲載されているが、「Links」の一番上にあるのが問題のBangkok Informerの記事だ。3番目のmsn.comの記事はフィリピンのニュースサイトInterAksyonがBangkok Informerの記事を転載したものとみられ、元記事(Googleキャッシュ)は既に削除されているが、フィリピン版のmsn.comには掲載されたままになっている。2番目のCookieCoffeeの記事は1年以上前の事件に対する安否確認が行われていることを批判し、通知の無効化方法を紹介する内容だ。 その後、Facebookは特に説明などをすることなく、安否確認機能を1時間ほどで無効化し、すべてのメッセージを削除した。さらに、爆発があったと宣言した証拠もすべて消し去ったとのこと。Bangkok Postでは1月1日に「The Fakebook Diaries」と題した論説を掲載。バンコク内の人々約1,500万人は爆発などなかったことを知っているにもかかわらず、Facebookで働く人々は爆発があったと主張したと述べ、昨年の米大統領選挙での嘘ニュース問題もからめてFacebookがFakebookになったと批判している。 スラドのコメントを読む | セキュリティセクション | セキュリティ | ニュース | Facebook | IT
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