半導体市場は成長加速、中国企業が台頭へ

2016年12月31日 17:39

 WSTSによると2017年の半導体市場は同3.3%増の3461億米ドルと予想される。各製品分野で成長が見込まれている。

 製品別の動きをみると、ディスクリートは同2.9%増の199億5200万米ドルとなった。センサは前年から成長率は落すものの同8.7%増の117億4600万米ドルと堅実な成長が期待されている。

 ICは同3.2%増の2814億2600万米ドルと成長を回復する。アナログは同4.9%増の497億300万米ドルと安定した成長が期待されている。また、MOSマイクロも同1.2%増の634億4000万米ドルと見込まれている。

 MOSメモリは同4.4%増の775億8500万米ドルとなった。メモリ市場はNAND型フラッシュメモリおよびDRAM両方の価格高騰に支えられて前年比を上回るものと予想されている。NAND型フラッシュメモリでは3D構造品の実績が高まることが期待されている。

 地域別市場では、米国市場が同4.7%増の672億3700万米ドルで、もっとも高い成長率となった。欧州は同2.3%増の333億5200万米ドル、日本が同2.4%増の328億7000万米ドルとなる。日本市場に関しては、円ベースでは同1.9%減の3兆3661億円となっている。アジア太平洋地域も同3.2%増の2126億4100万米ドルにまで拡大している。

 M&Aでは、NXPとQualcommの合弁企業が本格的に事業を開始する。2016年には独Infineon Technologiesが米International Rectifier(IR)を総額約30億米ドルで買収しており、2017年にはパワー半導体のトップ企業として事業を展開している。パワー半導体で、ルネサス エレクトロニクス<6723>がIntersilを買収している。

 2017年以降に動きが注目されているのが、中国の動きである。中国政府(中央、自治体)が支援するいくつかの大型プロジェクトが2017年以降本格化する。中国では2012年以降半導体企業、ファンドが半導体の後工程を担当する専門企業(OSAT)を積極的に買収してきた。2017年からは前工程の製造事業の強化を積極的に進めていく。

 新会社、新規工場建設のプロジェクトだけでなく、M&Aにも力を入れていく。M&Aの対象としては、ファンドリ企業である米GlobalFoundries、メモリメーカーであるMicron Technologyなどの名前が挙がっており、このうちGlobalFoundriesについては、高い確率で実現するものとみられている。

 中国政府は2014年10月に、半導体産業の先端技術開発や量産工場の発展を支援する半導体産業専門の国家級金融ファンド運営会社「国家集成電路産業投資基金(ファンド)」を設立した。ファンドの運用総額は1200億元(約2兆円)規模に達しているものとみこまれる。これに先立ち、ICの設計・製造・装置・材料の主要企業や研究機関などと密接に連携し、IC産業の発展を主導する専門組織「国家集成電路産業発展領導小組」が設立されている。新ファンドは、工業・情報化部と財政部の指導のもと、国家開発金融や中国煙草、北京亦庄国際投資発展、中国移動通信集団、上海国盛集団、中国電子科技集団、北京紫光通信科技集団、華芯投資管理などを発起人としている。すでに武漢では新工場プロジェクトに着手しており、北京でのプロジェクト開発も計画されている。(編集担当:慶尾六郎)

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