片まひ患者対応のタイピング支援装置、患側も導引し入力の負担軽減

2016年12月29日 11:50

 脳卒中はがんや心疾患、肺炎と合わせて日本人の死亡率上位となる重度な疾患だ。また、脳卒中と心疾患は要介護になる原因の4分の1を占める疾患でもあり、死亡者数を減らすこころみや、医療・介護体制および生活環境の整備、リハビリ拡充の必要性がさけばれている。こうしたなか、早稲田大学は、脳卒中などで片まひを持つ患者向けに、わずかな指の動きや圧力を感知して入力するタイピング支援装置を開発した。

 同デバイスではまひ側(患側)の手を入力に導引することにより、正常に動くほう(健側)の手ばかりを使用することでの負担やストレスを軽減する。立体型のキーボードデバイスの12種類のキーに指を置き、それぞれのキーに割り当てられた3つのセンサー(真下への圧力、前方への圧力、手前への圧力)が指の動きを感知することで、1本の指に3種類のキーが割り当てられる。小さな動きで感知可能なため、入力時間の短縮にもつながるとのこと。現在は標準的なキーボードでの入力よりも誤入力の割合が高いため、今後は1本の指で3種類のキーを正確に押し分けられるよう改良を進めていくとのこと。まずは川崎市北部リハビリテーションセンターで試験運用を開始する。

 以前までは、脳卒中で片まひとなった場合、軽症以外では患側上肢の使用は控え、健側中心での生活およびリハビリが望ましいとされてきた。しかし、近年では患側上肢の積極的で集中的な使用により、機能改善が期待できることが明らかになっており、リハビリの現場でも患側の訓練が実施されている。リハビリでは健側と患側を連動させて動かす訓練をセラピストの手により実施することが奨励されるが、こうしたリハビリは医療費などの制約からじゅうぶんにいきわたっていないのが現状だ。また、日常生活においても健側と連動した患側の動きの機会が少なく、安全な評価に基づいた患側のリハビリ支援装置の開発・普及が望まれている。同デバイスの活用が片まひ患者のリハビリ支援にも貢献することが期待される。(編集担当:久保田雄城)

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