拡大するリフォーム・リノベーション事業、今どきのスマートな暮らしとは

2016年12月29日 10:06

今、住宅業界では「リフォーム」や「リノベーション」が盛んに行われている。株式会社富士経済の調査によると、2016年度の住宅リフォーム市場規模は、2014年度比5.4%増となる8兆2295億円と予測している。この背景には、オンライン定額リフォームやリフォーム仲介サイトが普及しつつあること、またリノベーションの需要が増えたことなどが考えられる。

 一般的なリフォームの中心価格帯は、50万円から100万円程度。主な需要はこれまでと同様、経年劣化に応じた設備の取替や住居の補修などになるが、リフォームメニューを標準化して定額にする等、手間を省きながら、顧客に分かり易い提案を工夫することによって、サービスの充実と収益性を上げる努力が行われている。

 近年では、住宅メーカーや工務店などだけでなく、家電量販店やホームセンターなどの小売系事業者の参入も相次ぎ、活況を呈している。

 一方、ここ数年で認知が高まった「リノベーション」は、間取りやデザインの変更、さらには、省エネ性能などの住宅性能の向上を図るものだ。集合住宅や中古物件の販売時に行われることが多いが、場合によっては中古物件が新築同様に生まれ変わるため、高価格帯での需要も見込める。首都圏を中心に大阪や愛知など各都市部に拡大しており、それにつれて参入事業者も増えている。

 国土交通省が「住宅ストック循環支援事業」を開始したことも、リフォーム市場の強力な追い風となりそうだ。これは、インスペクション(住宅診断)を実施し、既存住宅売買瑕疵保険に加入する既存住宅の取得や、耐震性が確保された省エネ改修、一定の省エネ性能を有する住宅への建替えに対して、国がその費用の一部について支援する補助制度で、一戸あたり一回限りながら30万円以上の補助金申請ができる。上手く利用すれば、リフォーム予算をかなり軽減できるだろう。

 これに合わせて、住宅関連業者も柔軟な動きを見せている。窓やサッシなどの住宅建材でしられるYKK APや、トイレやバスルーム、システムキッチンなどで圧倒的なシェアを誇るTOTOなど、かねてよりリフォームに力を入れてきた業者はもちろん、住宅メーカーではパナホームが大きく動き始めた。

 パナホームグループのパナソニック リフォーム株式会社では、首都圏のリフォーム事業接点強化を目的に、新たに直営店となるリフォームショップ6店舗を10月から来年1月にかけ順次オープンしている。6店舗の内訳は、Panasonicリフォーム板橋(東京都板橋区)、同 浦和(さいたま市浦和区)、同 錦糸町(東京都墨田区)、同 つくば(茨城県つくば市、同 横浜(神奈川県横浜市)、同 市川(千葉県市川市・1月オープン予定)。これらのリフォームショップでは、同社のリフォーム事業におけるブランド「Panasonicリフォーム」を効果的にアピールできるよう、顧客接点の強化として展開を図り、顧客がより気軽にリフォーム相談ができるよう設えを整える。同社は、既存の新宿や名古屋・神戸(1月5日リニューアルオープン予定)のリフォームショップと合わせ、2016年度中に全国で直営店63拠点の設置を計画。パナホームの展示場やパナソニックの地域電器店、住建チェーン店、エイジフリー介護ショップなどの拠点とも連携し、グループ全体でリフォーム市場のシェア拡大を目指す。

 建物は30年もすれば価値が失われるといわれたのは、もう過去の話になりつつあるようだ。たとえ30年前の住宅でも、最新の技術をもってリフォームやリノベーションをすることによって、快適な住環境を確保、維持することができる。新築も良いが、財布にも環境にも優しいリフォームやリノベーション物件を検討することは、これからの日本社会に合ったスマートな暮らしといえるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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