JR西、ドローン活用で災害や事故時の映像をリアルタイムに遠隔共有
2016年12月29日 10:14
JR西日本<9021>和歌山支社は、災害や事故などの緊急事態における映像をリアルタイム遠隔共有する目的で、ブイキューブによるドローンソリューションを採用する。同ソリューションでは、災害現場のドローンが撮影するリアルタイム映像を対策本部など複数拠点から確認できる。これにより、最小限のタイムロスで現場の状況が把握でき、復旧に向けた迅速な判断と対応が可能となる。
同社は、2015年4月より別タイプのドローンを導入し、同年7月には台風による線路災害で活用している。その際、ドローンを現場に運び、ドローンが撮影した映像を現場から離れた本部(和歌山支社に設置)へ持ち帰る必要性が生じた。刻々と変化する災害現場の状況を把握するのにタイムロスは致命的となる。今回採用のソリューションでは、ドローンが撮影する映像を、遠隔拠点にリアルタイムに伝送・共有することが可能で判断材料は常に最新。内蔵SDの回収も必要ないとのこと。また、インターネット上に情報を置くことがないため、安全・安心な利用環境での情報共有を実現している。ドローンは複雑な地形など人が足を踏み入れにくい場所でも容易に撮影可能となるため、日常の検査業務での活用も検討しているとのこと。
災害時のドローン活用は、自治体を中心に導入が始まっている。大分県では7月よりドローンを単体で導入。職員の操縦研修なども実施し運用の定着を進める。千葉県千葉市の町会組織は9月にドローン空撮などを手掛けるダイヤサービスと協力協定を結び、災害時のドローン活用を進める。新潟県上越市は11月に、福島第一原発事故現場の撮影などで実績があるエアフォートサービスと協力協定を結び、災害現場の撮影だけでなく応急対策や災害復旧のための測量、交通手段の断絶された地域への物資の運搬に活用する。
ドローン活用による災害現場の情報収集は、その実用性の高さから今後も多くの企業や自治体で採用されると見込まれる。これ以外でも医療機材搬送システムやクライシスマッピングの作成などに活用される動きが立ち上がっており、活用事例の増加とともにソリューションの質が向上すると考えられる。(編集担当:久保田雄城)