全国に広がる鳥インフル、動物園にも影響
2016年12月23日 21:59
全国で鳥インフルエンザの感染が拡大している。家畜のみならず、動物園の鳥類にまで感染するなど、日々感染範囲を広げている。厚生労働省の発表によると、今シーズン初めて鳥インフルエンザが確認されたのは11月7日。北海道標津郡中標津町において死亡していたオオハクチョウから陽性反応が検出された。以降15日には秋田県で飼育されていたコハクチョウが、鹿児島県出水市では19日にナベヅルが死亡し、個体から陽性反応が検出。
11月に北海道・東北と九州地方を中心に死亡した鳥からウイルスが検出されて以降、次々に感染範囲が拡大している。また家禽への感染も次々と確認され、殺処分が続いている。新潟県では11月30日に養鶏場で鶏100羽が死亡し、県内で55万羽もの鶏が殺処分された。青森県では食用アヒルからウイルスが検出され、4800羽のアヒルが殺処分された。農林水産省食品部によると12月10日までに全国で810万1千羽もの鶏や鴨などが殺処分されたという。
更に感染は動物園という、人と鳥が接する場でも感染が広がっている。愛知県名古屋市の東山動物園では飼育していたコクチョウが死亡。別の場所で飼育されていた絶滅危惧種であるシジュウカラガンも死亡し、陽性反応が検出された。同園では7羽から鳥インフルエンザのウイルスが検出されており、11日から動物園エリアを休園する事態に追い込まれている。全国の動物園でも今回の問題を受けて鳥類の展示を取りやめたり、イベントを中止したりするなど、感染予防対策に追われている。
鳥インフルエンザは海外からの渡り鳥が媒介しているケースが多く、人の手で感染を防ぐことは困難だ。今後もしばらくは感染拡大が懸念されている。国内では鳥から人に感染した例はないものの、鳥に触れたり十分に加熱していない肉を食べたりすることで感染する可能性はあるとのこと。鳥をむやみに触らない、掃除などで鳥の糞に接近した場合は手をよく洗うこと、鶏肉は十分に加熱すること、ペットの鳥はなるべく外に出さないなど、自衛策が必要だ。(編集担当:久保田雄城)